小学6年生の夏、あなたがどこか遠くに引っ越すという噂を聞いた。俺とあなたの家は近所で、お互いにバーベキューしたり泊まったりと家族ぐるみの付き合いだった。だからか、近くにあなたがいる事が当たり前だった。
夏休みに入る1週間くらい前、帰り道を肩を並べて歩きながらあなたに聞いた。
目を丸くするあなた。
蒼太君、どうしたの!?と狼狽えたあなたが素っ頓狂な声を出した。
そう言うと、安心した様にあなたはため息を吐く。
あなたはへへっ、と笑った。
そして、
多少、ぶっきらぼうだったかもしれない。
全然、良くない。
あなたが引っ越したのは、それから1週間くらい後だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。