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第1話

再会
57
2019/01/28 01:49
ーー中学三年生、春。
あなた

(あれ?もしかして.....)

おーい、いっくぞー!
こっちだ、パス!
放課後、微かに赤みがかった光の中でサッカー部だろう、懸命に走る少年達。
私はその中に、見覚えのある男の子を見つけた。背が高く、スラリと長い手足。
ユニフォームをなびかせ、大きく足を蹴りあげる。
いっけえぇ!
ボールは勢いよく宙を突き進み、見事にネットに入った。
ナイッスー!
ゴールを決めた少年が振り向く。
満面の笑み。

よし、じゃあ今日は解散ー!
少年達が、スポーツバッグを片手に散らばっていく。
私はその中の1人をそっと呼び止めた。
あなた

そ、蒼太君.....?

蒼太
.....えっ?
背の高い少年ーー杉本蒼太がサッと振り向いた。
切れ長の目が私を捉える。
蒼太
っ!
あなた

覚えて.....る?

サラサラと揺れる髪の影に、大きく見開いた蒼太君の目。
あなた

蒼太君、だよね?

もう一度呼びかけると、見開かれた目が少し落ち着いた。
蒼太
あなた、か?
あなた

そうだよ、久しぶり!

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