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第17話

☆。.:*・゜
19
2020/03/27 13:07
私は余命宣告されている。しかしそれはあることをしなければ余命が減る事はない。
カウントダウンは止められるのだ。
生きれる時間が減るくらいなら話したいなんて思わない。
命をかけてまで話したいなんて思わない。
でも
何故だろう。
今、無性に話したい。
目の前にいる、さっきからごめんしか言ってくれない彼の背中に向けて伝えたい。
死んでもいい。
伝えたい。
気付いたら、私は声を出していた。
春野美咲
春野美咲
好き!
自分でも久しぶりに聞くその声に、私自身が驚いた。
しかしその倍以上彼は驚いていた。
生口優太
生口優太
なん…で…
彼は小さな声で問いかけてきた。
さらに言葉を発そうとする私を見て彼は私の肩に手を伸ばした。必死に、汗を流しながら止めようとするのでさっと彼から顔を背け、ノートに手を伸ばした。
それを見て彼は安心し、ホッと胸を撫で下ろすと私の頭をポンポンと撫でた。
照れながら、そして喜びながら、私はノートに文字を書いた。
春野美咲
春野美咲
『謝らないで!』
ノートを見て、開けた口を咄嗟に閉じる彼。
ちょっとして、再び口を開ける彼。
生口優太
生口優太
ぼ…から…

僕から言わせてよぉ…
!?!?
生口優太
生口優太
僕もずっと前から好きでした!一目惚れでした!付き合ってください!!
嘘…両思い…!?!?
春野美咲
春野美咲
『本当に…?』
生口優太
生口優太
うん!!

って、え!?なんで泣いてるの!?
え?
気づかなかった、両目からポロポロと出てくる涙に
生口優太
生口優太
えっ!?もしかして聞き間違いだった…?
生口優太
生口優太
ごめん!
春野美咲
春野美咲
『謝らないで!両想いで嬉しかったの!すっごく嬉しかったの!私もあなたが好き。』
彼の目からもあ涙が零れる。
春野美咲
春野美咲
『泣かないで!直接は話せないけど、こんな私でも好きになってくれてありがとう!』
そのページを見た彼は耳まで赤くなった。
そして彼は私の背中にそっと手を伸ばし、私の体を優しく包み込む。自然と私も腕を彼の背中に伸ばした。

夕日が半分沈む、赤い空に星がキラめく空の下で恋人になった。

今、世界で一番幸せな人は私なんだと心の中でそっと思う。
彼になら、命をかけてでも言葉を伝えたくなる。
私の今までの考えをひっくり返してくれる彼に、私は感謝している。

さらに強くぎゅっと抱きしめてくれる彼と、ずっとこのままでいたいと思った。




空の色がオレンジから淡い黒に染まるまで、私たちは抱き合った。

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