『私が……悪かったのかな……』
頭の中で同じ場面がぐるぐると回っている
家に帰り着き、沙奈はソファーに座り考え込んでいた
「…………」
『やっぱり私は……』
役立たずだ
「……」
頭の中に言葉が響く
柚子にあんなことして嫌われたんじゃない?
てか本当は未希も優衣も嫌ってんじゃない?
裏で悪口とか言ってさ
美咲にももしかしたら嫌われてるかもね
自分気持ち悪いし、うざいし
ねえどうなの?
一人からも好かれてないよ?
一緒にいる相手から気持ち悪いって思われてんだよ?
そんなの、ここにいる意味ある?
ねえいっそ
死 ん じ ゃ う ?
「………」
ああ、そうか
『私って……』
生きてる価値ないんだ
沙奈の目から涙が落ちてくる
大きな大きな涙
止まらない
止めれない
声にならない叫びが部屋中に響く
もう
生きていたくない
沙奈はソファーから立ち上がり自分の部屋へと向かった
大きな段ボールの蓋を開ける
そこから白いビニール紐を取り出した
椅子の上に乗り紐をドアノブから上に回し、ひっかけて結ぶ
「………」
みんなの顔が頭に浮かぶ
笑っているみんなの顔
「ねえ……みんなはさ…
私といて…
幸せだった?」
誰にも聞こえないような
小さな声で呟く
手を紐にかけ
身を乗り出す
‘‘ごめんね”
沙奈は椅子を蹴飛ばした
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レポートNo.1 野原 沙奈
年齢:14 誕生日:10/5 血液型:A
性格:
疑い深く、相手の言葉を信じない。昔からネガティブ思考&疑心暗鬼。過去二度いじめられた形跡がある。
結果:
「自分は嫌われている」と思い込み自殺。
うつ病の可能性あり。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。