いつも、あの子は俺よりも先におる。
って言っても君と出会ったんは3日前。
桜の木の下の不思議な少女。
あなた『恭平くん!やっほー』
高台につくと当然のように彼女はそこにおる。
恭平「ども。」
あなた『ねぇ。今日はちゃんと学校行くんだよ?』
恭平「もちろん。行くつもりっすよ。
俺、皆勤賞目指してるんで。」
俺がそう答えると彼女はおかしそうに
あなた『昨日、休んだからもう無理でしょ』
と言ってきた。
恭平「わかってますよ。ボケっすよ、ボケ」
俺がそう反論すると
あなた『嘘だ。さっきの顔は本気だった!』
からかってくる彼女。
3日で随分と仲良くなった気がした。
あなた『ってかさ、なんで恭平くんは敬語なの?』
言われてみれば、俺は彼女と出会ってからずっと敬語だ。
恭平「なんでなんすかね。年上かもしれないじゃないすか。」
あなた『へー。たぶん同い年な気がするけどな…』
あなた『私、18歳。恭平くんは?』
恭平「18っす。」
あなた『ほら、同い年だ!今から敬語なしっ!』
ね?と上目遣いで見つめる君は、ずるい。
恭平「わかった。」
あなた『あっ!恭平くん!学校!』
楽しい時間は終わるのが早い。
恭平「じゃあ、明日。」
あなた『うん。ばいばいっ!』
タメ…ってことは
なんで高校に行かないんだろう。
なんとなく、その答えがわかっちゃいけない気がして
俺は、その疑問を振り払うように
学校まで全力疾走した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。