第59話

 Johnny × Jisung 2 
11,205
2021/09/15 13:56















練習室を飛び出し、チソンを探す。






廊下を走って彼の姿を探していると、

チソンは意外とすぐそこにいた。







とぼとぼと廊下を一人で歩いている。



その背は決して低くないはずなのに、

どこか小さく思えてしまう。







チソンに追いつき、そのまま後ろから抱きしめる。








「チソンっ、ごめん…」

『なにがですか、、』








チソンの声は いつもより

ほんの少しだけ低く、ほんの少しだけ震えている。


そんな様子に申し訳なさが募る。








「ごめん、チソンがいたのに…わざとじゃないとは言え、あんな姿を見せられて いい気分なわけないよな…」

『べつに、、ヒョンが優しいのは知ってます…』

「チソン、怒ってる?」

『怒ってません。』

「嘘だ。」

『嘘じゃないです。』

「チソン怒ってたら唇突き出るもん。」

『えっ、………突き出てないです。』







チソンは唇をきゅ、と元に戻してそう言う。







「チソン、」

『僕のなのに……』

『ヒョンが…ヒョンが人気者なのは、知ってます…でも、ぼくのヒョンなのに……』

「ごめん、ヒョンの意識が甘かった。」

『みんなヒョンのこと好きなんです。』

「チソンの愛情にはみんな負けるんじゃないかな。」

『そんなの当たり前です…』









すると 抱きしめられたまま全くと言っていいほど

動かなかったチソンが、

くるりと向きを変え 正面から抱きついてくる。





チソンは無意識なのかわざとなのか上目遣いをしていて

また、唇を少し突き出した。




チソンは真剣なんだろうけれど、

俺から見ると可愛いとしか思えない。







『ヒョン…』

「なぁに、チソン。」

『ヒョンはぼくのこと好きですか?』

「勿論。」



『、、ぼくもヒョンのこと好きです…』






普段あまり言ってくれないその言葉に

驚いて固まっていると、







ちゅ、







可愛らしい音を立てて

唇に柔らかくて、少し冷たいものが触れた













『…ヒョンの顔、すっごく面白いですよ?』

「え?あ、あぁ…」







この寸刻の間、

俺の顔はきっとだらしなく緩んでいたのだろう。







緩んだ顔を引き締め、

今度はくすくす笑っているチソンに顔を近づける。








「ぁ…」







小さな唇から溢れた吐息はほんのり熱く、

閉じられた瞼の先にある睫毛は小さく動いている





舌を差し出すと すぐに舌は絡み合い

そのほかの何でも表せないキス特有の感覚に

お互いが溶けていくかのように思えてしまう。









唇をゆっくりと離すと

さっきまでの拗ねた子供のようなチソンではなく、



大人の欲を薄らと欲しているチソンの姿があった。


























「チソン、抜け出そっか。」






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