前の話
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時は、江戸。
ここは結構栄えている街の中の、小さな葬儀屋だ。
私は菊と言い、両親共に小さい時に死に絶えた。
皮肉な事に実家での土葬が主流のこの時代に、
葬儀屋なんかを残していった
珍しいものを好むものも居るらしく、
死んだ父親を気持ちよく火葬してやりたい。
と言うやつも少なくはなかった。
火葬というのは、これまた面倒くさく
800~950度に温度を保たなくては行けない。
この時代は煙にうるさく、火葬は珍しいため
苦情も多い。でもうちの近所は運良く優しい人ばかりで、許可を貰っている。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。