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第1話

葬儀屋として
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2021/03/28 11:07
紗波 菊
紗波 菊
(父さんが私をこんな家に置いて
ゆくもんだから、私はこんな目に…トホホ)
若い客
若い客
すみません
紗波 菊
紗波 菊
あっ、はい
若い客
若い客
こちらは噂の葬儀屋でしょうか
紗波 菊
紗波 菊
(噂、なのか…)
紗波 菊
紗波 菊
まぁ、葬儀屋です
若い客
若い客
葬儀をお願いしたいのですが
若い客
若い客
何せ葬儀は初めてなもんで
紗波 菊
紗波 菊
今どき葬儀なんてうちだけですし
この時代は土葬が主流ですからね
紗波 菊
紗波 菊
お名前お聞かせ願っても?
若い客
若い客
あ、二宮 若吉です
若い客
若い客
葬儀は明後日の羊の刻に
お願いしたいのですが…
紗波 菊
紗波 菊
わかりました
その時間にお伺い致します
時は、江戸。
ここは結構栄えている街の中の、小さな葬儀屋だ。
私は菊と言い、両親共に小さい時に死に絶えた。
皮肉な事に実家での土葬が主流のこの時代に、
葬儀屋なんかを残していった

珍しいものを好むものも居るらしく、
死んだ父親を気持ちよく火葬してやりたい。
と言うやつも少なくはなかった。

火葬というのは、これまた面倒くさく
800~950度に温度を保たなくては行けない。
この時代は煙にうるさく、火葬は珍しいため
苦情も多い。でもうちの近所は運良く優しい人ばかりで、許可を貰っている。
紗波 菊
紗波 菊
(私はこの仕事が嫌いだ)

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