第23話

正解
345
2023/02/24 23:33
地を蹴る音を耳にしたのと同時に、雨音の剣は僕の腕に噛み付いていた。

咄嗟の自己強化で防ぐ。
カルノ
図星でやんの
雨音
面倒くさいのがいたもんだ!
距離をとる。

……さて、どうするか。

僕は背中に担いだ剣を抜く。かつて父が選んだ、馴染みの武器だ。
カルノ
どーやってセツをモノにしたの?
雨音
いうわけねーだろ
カルノ
まぁ、そのうちわかるだろうけどね!
ガキィッ と剣と剣がぶつかり合う。

雨音はまだ余裕そう。うーん、ヤバいかもな……
雨音
それよりいいのかい?
後ろの荷物は死ぬぞ?
荷物、とは革命長のことだろうか。

いやまだ逃げてないんかい。
カルノ
えーいったいなんのことだろーー
革命長。その武器は頭で、戦闘センスは皆無だ。

それでも僕は、心配してない。
カルノ
革命長の能力ぐらい、共有させときません?
革命長
うむ……検討しましょう
雨音
っ……、何……はは、全回復してんじゃんか……っ!
遮るようにして刃を横に振るも、すれすれで避けられてしまう。

それどころか、その隙を狙った雨音の蹴りは僕の腹を抉る。
カルノ
っっ………おえ……、
革命長
カルノっ!
雨音
何でなの…?さっき頭取ったでしょ!!
僕は苦しいながらも笑みを零す。

革命長の能力、それは





”超回復“
カルノ
自分のことなら完璧に治せるんだよね!
革命長
お恥ずかしながら
雨音
そういうことかよ……!
ヒュッと凄まじいスピードで革命長に向かう雨音。

それを僕は剣で防ぐ。
雨音
っ……………この畜生共が……!
カルノ
首は取らせない。てかお前みたいなにわか野郎に取れるほど、
僕らは単純じゃない!!
ぐっと押し返される。

くっそ…どんどん雨音の力が増してる。そろそろ僕の力じゃ抑えられそうにない…!

革命長は流石に逃げてくれたか……

てかこっち上限まで強化してんのに押されるとかマ?
雨音
てめえこそ知ったかすんじゃねぇタコ!!
ガン!と金属の音。

速い振りの横斬りを躱し、僕は間合いに入る。

突然の接近にも問題なく対応する雨音に背筋が凍りそうだ。

回避と攻撃が繰り返される。技の繋がりを絶っては連なるフェイントを折り曲げる。

まるで中盤まで差し掛かったリズムゲームのように、
のめり込めば込むほど自分がわからなくなる感じ。

一つタイミングがずれたら最後、もうやり直しできない感じ。

きっとまだ雨音は本気を出していない。

なのにここまで追い詰められては……………!
雨音
さぁほらもっとおいでよ水色ぉ!!
カルノ
はぁ、はぁ…っわかってんだよ!!
足掻くように雨音に斬りかかる。

しかし掠った拍子に雨音のスマホが落ちたぐらいで、逆に顎を蹴られてしまった。

そのまま腹を剣が貫通する。
カルノ
っ……ぶぐっ………!
雨音
……味気ないんだよ、家畜にんげんみたい
雨音は僕の腹から剣を抜き、足を折った後捨てるようにして放った。
雨音
…………つまんねーな!!
カルノ
っ……るせぇ……!
立ち上がる。

雨音は少しも顔を変えなかった。
カルノ
………………ねえ、本当に吸血鬼のトップが革命長だと思ってる?
雨音
……………は?どういう意味?
知らないんだ、当たり前か。
カルノ
いいや、そういうとこがにわかだって
カルノ
………お前なんかに何かできると思うなよ
もう一度構える。

そう、お前に効くかは知らないが
カルノ
僕らが勝つって決まってんだよ!
剣を手に突っ込んだ。
雨音が僕の視線の先に剣を構えている。受ける気だ。

きっと雨音からしたら、この動きも遅いんだろうな。

なんて。

風の音が耳を突き抜けた。

目前。





僕は全体重をかけて抉り蹴った。







雨音
っ………………!?
雨音は向こうの壁まで飛んだ。
カルノ
……身体能力強化なんだから、体使わなきゃヤでしょ
攻撃手段のフェイク……効いたな……

雨音は咳き込んでいる。

見る限り出血はそこまで多くない。
雨音
っ、はは……っ…ごほっ、っ゛……甘いね
あの距離からの瞬発……!!?


雨音は受けるで精一杯の僕の左足を潰す。

叫ぶのは唇を噛んで抑えたものの、バランスが死にそうだ……
カルノ
邪魔すんなよ雨音……!
雨音
こっちのセリフだ水色……!
雨音の足の間に踏み込む。

そのまま体を回し________________










セツ
_____________お前の19回目の負けだ、カルノ
あなた
っ………カ、…カルノ………っ















は?
雨音
隙だらけ




反応が、



遅れた









ナナ
__________________________“不動”

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