天井が見える。
暗いうえ、慣れない家の寝室だからか
目が回ったかのような錯覚を覚える。
ベッドの上でスマホを見る。
まだ早いのに頭も起きてしまったようだ。
既に学校の件から3日がたっていたが、
あれから雨音の動きはまだ見られない。
結界の方も東京都全域捜索したようだ。
しかし結果は芳しくない。
警戒は強まるばかりだ。
最近はずっとカルノの家にいる。
革命児達とはリモートで通話はしてるけど…
毛布を押しのけてベッドからおりる。
ペタリと踏んだ床はひんやりとしていた。
なんだかまるで、氷に沈んでいるような感覚さえする。
スマホのライトでも照らせない、真っ暗な氷の孤島に。
キッチンについた。
ていうかよくついたな私この家で。
蛇口のセンサーに反応させ、水をコップに注ぐ。
ついでにそばの窓を開けた。
ここは2階で、少し離れたところに通りが見える。
既に歩いている人は多く、新しい景色が面白い。
窓を閉める。監視されてたり狙われていたら困るしね。
もう2杯ほど水を飲み、私はまた寝室に戻った。
____________________通りは、人で溢れかえっていた。
ルイは走って僕の家へ向かう。
どうやら影響を受けているのは人間だけのようだ。
僕はセツ達に連絡するためスマホを起動する。
僕ら吸血鬼は人間よりも頑丈で強い。
だから無差別テロでも効かないのだろう。
僕も走る。ナナとハツはもう家についているらしい。
走って、通りを抜けて走って走る。
走っていると、突然服を掴まれた。
掴んでいたのは6歳くらいの女の子だった。
はぐれたのか一人だ。
っ…………聴こえていない……!?
いや、どうするべき_________
僕はその子を近くの建物に誘導する。
建物から出ようというところで、
突然バチバチッと火花の散るような音がした。
一気に通りから光が失われる。
いや、こんなときだからこそか?
僕らはまた走る。
父様によると、工事関係者、公共交通機関に携わる人々の救助にも人数が割かれているらしい。
まずい、各地で『人』が崩れていく。
混沌に、引きずり込まれていく。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!