第28話

まだまだ
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2023/03/25 11:36
ライナがそこにいた。

近接戦闘なんてからっきしの、ライナが。
ライナ
………ルイのこと…何殺そうとしてんの……?
セツと僕の間に割って入ったライナは、セツを睨んだまま放った。
柔らかな背中と鋭い気配。小銃を握る手は固い。

セツは構えながらライナを見つめる。
ライナ
………俺、言ったよな…
ライナ
ルイは俺の…将来のパートナーだって
銃声が一つ。二つ、三つ。

反動の少ない小銃。フルオートによる広範囲の散弾。

ライナの足掻き。






セツには届かない。
セツ
っ面倒くせぇんだよ…いちいちしゃしゃんじゃねえ!
その全ての銃弾を避け、セツはライナに近づく。

音が耳に入るよりも速くセツは蹴りを入れる_____________











_____________その前に
ドンッ と鈍い肉の音がした。
ルイ
………………やぁセツ
ルイ
________おはよう
僕はにやりと笑って、セツの股関節を外した。
セツ
っ……………!?
脚力と振動。力を”干渉“で強化。“回折”で力の方向をセツの後方へ。

動けないでしょ。
ルイ
あーそういえば、
ルイ
なんかフェイクとして幻影使うの苦手ーって言ってたよね
嘘つき。
ルイ
そもそも幻影なんて使いたくないって言ってたくせに
セツは優しいから。

みんなに幸せな夢を見せようとしてたから。

痛みを知っているから。
セツ
っ………どうでもいいんだよそんなこと……今は………!
セツの蹴りが入る。

胃を圧迫、気管も傷ついた。
ルイ
っ゛………、……ハァ…
嘔吐。血も混じっている。
ルイ
しぶといな……今度からゴキちゃんって呼ぼ
セツ
そりゃお互い様だぜ、ゴキブリに謝れ
ライナを牽制する。

僕らは構えた。

きっともう長くは動けないだろう。



地面を蹴って弾けた。
雨音
(…………あとちょっとで届かないんだよな…)
銃を握る手が痺れてきた。

……中々相性が悪いな。
雨音
(僕の強みはスピード…なのにほとんど見切られる。それに……)
投石。着々とスピードの上がっていくそれを粉砕する。

その隙を狙ったであろうハツとナナが時間差で攻撃を仕掛けてくる。

どちらかを防ぐとどちらかに当たる。そんな絶妙なタイミング。

ダメージを最小限に抑え僕は半歩距離をとった。
そのまま短く瞬発し、ナナ目掛けて突っ込む。

しかしそれをギリギリのところでハツに防がれてしまった。
雨音
(………この異様な防御力とチームワーク…攻めきれない…)
視線とか前情報からして、全体を見て判断しているのはナナ。
捨身で間合いもクソもないデタラメな防御・耐久はハツ。

厄介だなぁ…
雨音が銃を鈍器のようにして頭を殴ってくる。

それもとてつもないスピードでだ。

それを俺は避ける。隙が出来た雨音の後方からハツの剣が振られる。
雨音は上空へ避けた。
雨音
お前らさぁ、味方に当たるとか考えないわけ?
息を少し切らしている。カルノとの戦いで体力が削られているんだろう。
すごい成果だよカルノ。

俺は雨音に言い返した。
ナナ
当たったからって何になるの?
雨音
……うわ…
俺も上空へと跳躍する。ハツも反対側へと回り逃げ道を塞ぐ。

雨音はハツの頭に小銃を振り落とす。そのスピードには追いつけず、落ちてしまう。
上空での戦いやすさ、経験の差だ。

集中する。相手を見ろ。惑わされるな。

雨音は俺の頸動脈を抉ろうと腕を伸ばした。

それを俺は掴む。
ナナ
悪いけど、君のリズムはもう覚えたから
ナナ
“必中”
その腕……いや雨音の体に雹が降り注ぐ。

それも全方向から、直径30センチの巨大な塊。
雨音
っ…………!!
当たっては回復、当たっては回復を繰り返す。

そこにハツが攻め入る。俺の判断通りの動き。雨音のダメージを深くする動き。

俺の方へ向かわせないような立ち回り。それはまるで盤上の駒のよう。
雨音
っ何なんだ……何でお前らそんな……!
ナナ
俺達は今脳を共有してるからね
雨音
っ……!?
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ナナ
“ナナとハツの思考を共有する”
ハツ
いつも通りだな
ナナ
うん。もう雨音が来る。あれじゃ気絶はしないな
ハツ
よろしくな司令官
ナナ
それはまだ先の話だよ
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ナナ
いっぱいデータは貰ったからね…
俺は笑みを溢した。

壊しても壊しても振り続ける雹。それに乗じるハツを見ながら。

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