第6話

奇譚・其之壱


炭次郎 side









我妻 善逸
我妻 善逸
もう毎度毎度なんなのぉ!?
もう嫌だ怖い~!!(泣)
嘴平 伊之助
嘴平 伊之助
弱っちぃな紋逸!
ハッハー俺様は全然平気だったぜ!!
我妻 善逸
我妻 善逸
黙らっしゃい猪頭ァ!!(泣)💢

今日も無事に全員生き残り、任務を終えて
帰路につく。

とはいえ多少の骨折やらの負傷はしてしまい、
鎹烏の指示で『藤の花の家紋の家』に
療養がてら行くことに。




外はもう陽も沈みきって辺りは夜闇が広がり、
ただ空に浮かぶ月が、淡く俺達の行き道を
照らしている。
日中暑いとは思っていたのとは裏腹な、
頬を優しく撫でていくそよ風が心地良く思えて
くる。








藤の花の家紋の家に到着し、腹も満ちたところで
風呂に向かう。

脱衣場に入ると、俺ら以外に誰か居たような香り
が一瞬鼻腔をくすぐった。
竈門 炭次郎
竈門 炭次郎
俺ら以外にも誰か休息に
来てるのかな……
嘴平 伊之助
嘴平 伊之助
おい!
鏡のとこに何か置いてあるぞ!
気のせいか、と思ったのも束の間、
伊之助が何か置いてあることに気付き、思わず
近くに駆け寄る。

そこには綺麗な字で
「御風呂、有難う御座いました。
とても素敵で、良い湯治になりました。
諏訪部 凪」

と書かれていて、一輪の濃紫の花が咲いた
見たこともない植物と一緒にひっそりと鏡の前に
置かれていた。
竈門 炭次郎
竈門 炭次郎
何だろう、この花…。色が綺麗だな……
嘴平 伊之助
嘴平 伊之助
これ、杜若かきつばただな
我妻 善逸
我妻 善逸
知ってんの!?猪頭のくせに!?
ぎゃあぎゃあと騒ぐ2人の仲裁に入り、
着ていた浴衣を脱ごうと帯に手をかける。
竈門 炭次郎
竈門 炭次郎
早く入ろう。
この紙の人が『良い湯治になった』
って言ってるんだから、きっとお湯も
気持ちいいんだろう
嘴平 伊之助
嘴平 伊之助
よっしゃあこの伊之助様が一番乗り
じゃあ~!
我妻 善逸
我妻 善逸
風呂場で走るなよな~。
コケても知らねぇぞ~……
いつの間にか浴衣も脱いで風呂場へと走り出す
伊之助に善逸がそう注意しながら、俺も善逸と
歩いて風呂場へと向かった。



浴場は石造りの綺麗な露天風呂で、周囲に絢爛に
咲き乱れる藤の花が、月の輝きと合わさって
美しさがより一層際立っている。
早速木桶で体を洗い、3人で背中を流し合う。
我妻 善逸
我妻 善逸
これくらいの加減で洗えよ?
嘴平 伊之助
嘴平 伊之助
おっしゃ、任せろ!
我妻 善逸
我妻 善逸
ッぎゃああ痛い痛い!
はぁー痛ったいわ背中ズル剥けに
なるわ!!
竈門 炭次郎
竈門 炭次郎
wwwwwwwwwwww
伊之助の大声が、善逸の涙ながらの怒声が、
俺らの笑い声が夜の空へと吸い込まれていく。


この時だけは、
「いつまでもこの幸せな時間が続きますように」
と祈る俺が、どこかに確かに存在していた。








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杜若とは、こんな感じの花です!!
初夏の花…………つまり、今5月という訳です!






以上、作者のコソコソ噂話でした('ε'*)