どうにかしてください！貴方たちの使い魔でしょう！？

しっかり躾を………え？貴方のじゃない？

じゃあ…

え？

……そ、そうでしたっけ？

ｺﾞﾎﾝ!では、学園外に放り出しておきましょう。鍋にしたりはしません。私、優しいので

少々予定外のトラブルはありましたが、入学式はこれにて閉会です

……ん？そういえば、ディアソムニア寮、寮長のドラコニアくんの姿が見えないようですが……

そんなに言うならアンタが伝えてやればよかったじゃない

――おお、やはり

もしやと思って来てみたがマレウスは来ておらなんだか

"また"式典の知らせが届いていなかったとみえる

まあよい。ディアソムニア寮の者はワシに付いてくるがよい……あやつ、拗ねていなければいいが…

――さて、お2人さん。大変残念なことですが…

貴方たちには、この学園から出て行ってもらわねばなりません

魔法の力を持たない者を学園へ入学させるわけにはいかない

心配はいりません。闇の鏡がすぐに故郷へ送り返してくれるでしょう

さあ、扉の中へ。強く故郷のことを念じて……

さあ闇の鏡よ！この者たちをあるべき場所へ導きたまえ！

ｺﾞ､ｺﾞﾎﾝ……もう一度…

闇の鏡よ！この者たちを……

え？

なんですって？そんなこと有り得ない！ああ、もう今日は有り得ないのオンパレードです！

私が学園長になってから、こんなことは初めてでどうしていいか……

そもそも貴方たちどこの国から来たんです？

日本？聞いたことない地名ですね

ちなみにルナさんはどこの国から？

イーストブルー？フーシャ村？そんな国も聞いたことありませんね

残念ながら知りませんねぇ

私は世界中からやってきた生徒の出身地は全て把握していますが、そんな地名は聞いたことがない

一度、図書館で調べてみましょう

やはり、ない

世界地図どころか、有史以来どこにも貴方たちの出身地の名前は見当たりません

貴方たち、本当にそこから来たんですか？嘘をついてるんじゃないでしょうねぇ？

こうなってくると、貴方たちがなんらかのトラブルで別の惑星……

あるいは"異世界"から招集された可能性が出てきましたね

貴方たち、ここへ来る時に持っていたものなどは？

身分証明になるような、魔導車免許証とか靴の片方とか……見るからに手ぶらですけど

本当ですか！

これは…ロケットペンダントですか？

少し見せて貰っても？

分かってますよﾊﾟｶｯ

ほほぉ…この無邪気に笑ってる4人組が…

義理？ということは再婚でもされたんですか？

いい話ですねぇ

ん？なんです？ユウキくん

本当ですね、別の世界のユウキくんが何故ルナさんのことを？

なんと…！

次元が違うのでしょうか？

ルナさんは学園に入れるとして…

困りましたねえ

魔法を使えない者をこの学園に置いておくわけにはいかない

しかし保護者に連絡もつかない無一文の若者を放り出すのは教育者として非常に胸が痛みます

私、優しいので

学園内に今は使われていない建物があります

う〜ん………そうだ！

昔、寮として使われていた建物なので掃除すれば寝泊まりぐらいはできるはずです

そこであれば、しばらく宿として貸し出して差し上げましょう！

その間に貴方たちがいた場所に帰れる方法を探るのです

あ〜なんて優しいんでしょう、私！教育者の檻ですね

では善は急げです。寮へ向かいましょう

少し古いですが、趣のある建物ですよ