第5話

突然の電話
1,135
2018/08/15 13:53



涼介を待つことかれこれ2時間は経過していて
教室からサッカー部の練習の風景を見ていた。



するとようやく片付けを始めているのに気づき
慌てて鞄を持ってグラウンドに駆けつけた。
あなた
涼介!お疲れ様!


涼介のところまで走っていきながら
事前に買っておいた飲み物を渡す。
涼介
おぉ!サンキューな、あなた
あなた
ずっと教室から見てた 笑
涼介
え、そうなの?かっこよかったっしょ?笑
あなた
涼介、転んでたね 笑
涼介
いや 笑 がっつり変なとこ見てんじゃん 笑
あなた
でも、頑張ってた!かっこよかった!
涼介
...ッ...そんな褒めんなって
調子狂うじゃん



ぷいっと逸らす涼介の横顔はなんだか
頬が赤くなっているように見えた。
涼介
は、早く帰ろうぜ!
あなた
うん!



下校中もふざけ合いながら会話が続き
私の家の前まで着いたところでふと、
ある事を思いだして涼介に問いかけた。

あなた
ねぇ、涼介?小さい頃の約束覚えてる?
涼介
え?約束?


すると突然涼介の携帯が鳴り響いた。
涼介
あ。わりぃ、ちょっとごめん!


話の途中で申し訳なさそうに顔の前で

ごめんと手で合図をしてから電話に出る。
あなた
(こんな夜遅くに誰だろ...)


なんだか嫌な予感がして落ち着けずに
いると私の嫌な予感が当たってしまった。
涼介
えっ!本当ですか!わかりました。
よろしくお願いします!


そう言って電話を切ると嬉しそうな顔で
こっちに向かってきた。
涼介
あなた!東京の仕事決まったって!
あなた
えっ··· そ、そう···なんだ!
よ、よかったね!涼介の夢叶ったじゃん!


まさかこんな早くに東京の仕事が
決まるとは思ってなかったから
嬉しかったけど寂しさが溢れてきた。

あなた
・・・・・ッ


でもここで私がわがままを言って
しまえば 涼介が困ってしまう...。



私は溢れだしそうな涙を堪え、笑顔を向けた。
あなた
ずっと応援してる!頑張ってね、涼介!



これ以上涼介の顔を見ると泣いてしまう...



そう思いその場から逃げ去るように家に入った。
涼介
おいっ!あなた!


後ろから呼び止める声が聞こえたけど
振り返れず玄関の鍵を閉めて思いっきり泣いた。

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