あれから私達は高校生になった。
いつも寝坊しそうになる私を家まで
迎えに来てくれる涼介。
今日も玄関先から聞こえてくる声。
あくびをしながら下に降りていくと
そう言いながら手で頭をくしゃくしゃと乱される。
姿見で髪を整えているあなたの姿を後ろ
から眺めながら、突然腕を掴まれて。
そう言って涼介は学校まで走り出した。
───キーン コーン カーン コーン───
予鈴が鳴り始め慌てて正門をくぐり抜けると
ギリギリで教室に入ることができた。
教室に行く途中でいつもこんな会話から始まり
涼介に意地悪な事ばかり突っ込まれる。
もっと女子をいたわれ。と、いつかそう
言ってやりたいと思いながら本音を閉じる。
そんなことを考えながら教室へ入ると
何故かニヤニヤしながらこちらをじっと
見てくる大貴の姿があった。
紹介が遅れました。
朝からヤケにテンションが高いこの人。
大貴っていって同じクラスメイト。
涼介と登校すると毎日ってくらい
茶化しにくるちょっと面倒くさい人。
教室に入り自分の席へ着くと
いつものように話しかけてくる。
涼介が授業前に話しかけてくると
だいたい教科書を忘れて貸してほしい
アピールをしてくるのだ。
すると案の定顔の前でパチンッと
両手を合わせる 涼介
片目だけ開けてこちらを見てくる涼介。
言い合いしてる間にいつの間にか
授業が始まっているのに気づき、
注意された拍子に涼介が 立ち上がったもんだから
可笑しくて思わず吹き出してしまった。
じろっと私の方を向いて笑うなよと口パクで
必死に伝えようとするところが なんだか
可愛く見えてしまった 。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。