月島 side
ずっと走り回って探しているけど
あなたを見つけられない
ホントッ、 何処にいるんだよ!
どうしてあなたがこんな目に遭わなくちゃいけないんだろ
あなたは幸せかな?
突然 両親が亡くなって、
叔父さんに引き取られたと思ったら 極道一家で、
来たくもない所に連れてこられて、
婚約者が決められて、
毎日のように喧嘩して、
おまけにマフィアのグループに攫われるって。
直接 あなたに聞いてみなきゃ
極道って聞いてそりゃビックリしたけど
あなたはあなただから、何も変わらないから、
変わらず、あなたのことが 好きだ
まぁそれは孤爪さんも一緒だと思うけど
あなたが好きだ
だけど、 そんな言葉を口軽く言えない。
一応 婚約者である 奏一と、
幼なじみの 孤爪さん、
どう考えたって2人の方が僕よりあなたと長く居て、
あなたのことをわかっていると思う。
じゃぁ僕は一体、あなたの何を知っているんだろう
2人に劣らない位のあなたのことを、
何か知っているのかな?
’
’
’
’
’
’
いや、
そんなこと思ってもしょうが無い。
これから知っていけばいい
これから同じ時間を過ごせばいい
これからあなたを振り向かせたらいい
あなたの名前を呼びながら決心した
瞬間
誰よりも大きい声で叫んだ奏一
そして、何かを察知したかのように突然動きだした
奏一も本能で動いてんのかよ。
だけど
誰よりもあなたに届いたと思った
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奏一 side
その言葉に応えるかのようにアイツの声が聞こえた
「そういち、、、」
今にも泣きそうな ホッとしたような
か細く俺の名前を呼ぶアイツの声を聞き逃さなかった
古ぼけた鉄の扉の前まで来たが
なかなか開かない。
ガチャガチャッ
きっと
アイツはこの中に居る
ここまで来たのに、
すると
アイツの声が聞こえてきた
ハッキリとは聞こえないが誰かと話している
おそらく朱梨のボスだ。
アイツが危ない
それしか考えられなくなった。
今すぐにアイツを救い出さなきゃ
危険だ。
俺は空手をやっていた時のように蹴りでドアを蹴飛ばした。
小学生の時、アイツが試合でやっていた技
中学の時、俺と張り合った時に容赦なく使ってきた技
そして、
もう空手はやらないのだと思っていたが、
密かに1人で稽古をしていたことを俺は知っている。
アイツが1番得意とする技
ダァン!!!!!!!!
そこに居たのは
確かにアイツだった。
だけど、
なんで、 抱きしめてんだよ。
俺は朱梨のボスに殴りかかった
けど、
アイツが俺とボスの間に入って
両手を広げて言った
おかしいやろ
どう考えても
敵を庇うなんて
「.....ごめん。」
最後にそれだけ言い残しアイツは朱梨のボスを連れて出ていった
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という事で、
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。