第29話

眩しすぎる、その光。
7,397
2020/02/26 14:18






ー炭治郎sideー





竈門炭治郎
パチッ(目を覚ます)
竈門炭治郎
はっ!!



此処は……



蝶屋敷か……?



竈門炭治郎
善逸!伊之助!
…煉獄さん!!
我妻善逸
炭治郎!
目を覚ましたか!?
嘴平伊之助
お!!
紋次郎!
待ちくたびれたぜ!!
竈門炭治郎
炭治郎だ!
竈門炭治郎
二人とも…
俺より先に目を覚ましていたんだな。
竈門炭治郎
よかった……。
竈門炭治郎
……それで…煉獄さんは……?
我妻善逸
……個室で看病されてるらしい。
命は助かったけど、左目がもう……駄目らしい…。
まだ…目を覚ましてない……。
竈門炭治郎
……そうか。
我妻善逸
…なぁ、炭治郎。
伊之助が言ってたんだけどさ、強い女の子が煉獄さんを助けたって…本当なのか?
竈門炭治郎
ああ…。
助けに来てくれたんだ、
…離れた所から。
嘴平伊之助
アイツ、何者なんだ?
何かアイツ…いままで会った奴のなかでも
よくわかんねぇ感じがしたぞ。
竈門炭治郎
……あの人は、常闇あなた。
竈門炭治郎
…"神の呼吸"の使い手だ。
我妻善逸
……………は?
竈門炭治郎
え?だから、神の呼吸の使い手…
我妻善逸
……はぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!?!!
我妻善逸
お前!!それ本当か!?!
竈門炭治郎
あっ、ああ…本当だが…
我妻善逸
はぁ!?!!
ねぇ馬鹿なの!?!!
馬鹿なの!?!?!!
とんでもねぇ炭治郎だ!!!
竈門炭治郎
ぜっ、善逸……?
落ち着いてくれ。
我妻善逸
落ち着ける訳がねぇだろうが!!!!
嘴平伊之助
紋逸はなんでそんなにうるせぇんだ?
静かにしねぇとしのぶに怒られるぞ?
我妻善逸
黙れる訳がねぇだろうが!!!
てか!絶対お前に言われたくねぇよ!!
我妻善逸
お前ら本っ当に何も知らないんだなぁぁぁぁああ!!!
我妻善逸
神の呼吸だぞ!?!!
我妻善逸
神の呼吸の剣士だぞ!?!!
我妻善逸
姿を現さないっていう生きる伝説だぞ!?!!
我妻善逸
下級隊士は姿を見れただけでも奇跡なのに!!!
お前らは助けて貰っただと!?!!
我妻善逸
しかも有難味っていうもんを一切感じてないんだな!?!!
ふっざけんなよ!!!
竈門炭治郎
有難味も……勿論感じているが、
俺は何回もあなたに助けられてるから……
有難味よりも、申し訳ないというか……。
我妻善逸
何回も!?!!
「あなた」!!
え!!何!!呼び捨てなの!?!
我妻善逸
とんでもねぇ炭治郎と伊之助だ!!!
嘴平伊之助
うるせぇよ!紋逸!!
我妻善逸
善逸だ!!
竈門炭治郎
とっ、取り敢えず…!
話を聞いてくれ!
善逸!伊之助!!
我妻善逸
……話?
嘴平伊之助
なんだよ



それから俺は…



あなたのことを善逸と伊之助に話した。



俺が初めてあなたに会ったときのこと、



そのときにあなたと交わした話のこと、



あなたが月柱にされていたこと、



俺がナタグモヤマであなたに助けられたこと、



あの柱合会議のときのこと、



"美しい山"で再会したこと、



あなたと禰豆子と暮らしたときのこと、



あなたの使う、神の呼吸のこと



美しい山での別れ、



そして……



美しい山に居たはずのあなたが助けに来てくれたこと……。



他にもいろいろ話した。



とにかく、あなたのことを話した。




二人とも、食い入るように聞いてくれた。



我妻善逸
……大変だったんだな…あなたちゃん。
嘴平伊之助
アイツの呼吸も、
アイツの剣術も……
他の奴には絶対出来ねぇ。
嘴平伊之助
…アイツの剣術を見たとき、鳥肌がたったぜ。
竈門炭治郎
あなたの呼吸は……
見る者を魅了する。
見る者は…
その魅力に惹き付けられる。
竈門炭治郎
音よりも速く、
光が見えたときには…
もう既に鬼の頸が落ちている。
我妻善逸
何それ…!?
益々会いたくなっちゃうんだけど!!!
ねぇ!!!
どうしてくれんの!!!
我妻善逸
死ぬまでに絶対この目におさめておきたい!!!!
会いに行こう!!!
炭治郎!!!



会いに行く………か。



正直、俺も会いたい…。



会って、お礼を言いたい。



でも……



あなたは会ってくれるのだろうか…?









嘴平伊之助
うるせぇぞ!!善逸!!
我妻善逸
そうだよ!!
善逸だよ!!!
お前には言われたくねぇよ!!!
??
えっと……
入っても、いいかな……?






え………?




どうして君は……



ここに居るんだ……?

























会いたかった。





















あなた。
我妻善逸
え…?
え?え!?
え!?!!
我妻善逸
っ誰!!!
このお美しい人!!!
結婚しよう!!!
常闇 あなた
………えっ、と…?
嘴平伊之助
あっ!!お前…!!
竈門炭治郎
………そ、んな…

………"あなた"。
常闇 あなた
炭治郎……
我妻善逸
………え!!?!!?!
我妻善逸
この人が……!!!!
本当に…?!!?!
嘴平伊之助
ああ、間違いねぇ!
コイツだ!!
あのときの奴だ!!
竈門炭治郎
……どうして…君が…ここに、
常闇 あなた
……お館様と話した後、柱の方達と話をしたの…。
常闇 あなた
私……
常闇 あなた
"此処"に居ていいかな…?
常闇 あなた
…"鬼殺隊"に……居ても、いいかな?




俺が……



ずっと聞きたかった言葉…。






この言葉が聞きたくて、



俺は…美しい山にあるあなたの屋敷に留まったのだ。



あなた……



その言葉、信じていいんだな…?



君は……



鬼殺隊に帰ってきたんだな…?



"此処"に……



"ずっと"居るんだよな……?











俺は……



ずっと、



待ってたよ。






もう、戻って来てはくれないかと思ったけど……



やっぱり君は、とても優しい人だから…



戻って来てくれたんだ……



俺達の所に。








竈門炭治郎
もちろん…いいに決まってるじゃないか。
"ずっとずっと…いつまでも"
居ていいんだ。
……待ってたよ、あなた。
竈門炭治郎
……おかえり。
常闇 あなた
…うん、ただいま。ニコッ




そう言って君は……



優しく、微笑んだ。




あの美しい山で見たのと同じ、



優しい笑顔……。





でも……



あの山で見た笑顔よりも、



さらに優しく…


美しくなったあなたの笑顔は……




本当に綺麗だった……。





俺はまだまだ力不足だけど……



今の俺には、
おこがましいかもしれないけど……





俺は"この笑顔"を……



守りたいと思った。




"この笑顔"が…



失われてはいけないと思った……。





"この笑顔"を……














失いたくないと思った。













だから俺は……



強くならなければいけない。








"この笑顔"を……













"眩しすぎる、その光"を……











一生、守り抜く為に……。
























"眩しすぎる、その光。"




それは美しく……



優しく、人々を包み込む…。













だが、



"眩しすぎる、その光"は…



もっと、



輝くことができるのかもしれない。















いつか"その光"は……



"この地"を照らすだろう。

















そのとき、




"この地"に訪れるのは…_______?





そして……



"その光"の行方は……………………?














人々はまだ、



























『何も知らない』











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『ごめん…………炭治郎。








私、"此処"に……
















"ずっと"は…………


















居られない。』

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