人々は知らない。
"月"が纏っている"月光"は、
本当は"太陽の光"だということを………。
"太陽"は、
"孤独"に耐えながら
"月"を照らし続けているということを…。
"月"は、照らされ続ける。
"今"も、
"この先"も。
全ては……
"大切な人達"を守るために。
〈人物設定〉
〈神の呼吸について〉
神の呼吸は、「陽と陰」。
つまり、「光と闇」を用いた呼吸。
神の呼吸を使う者は今まで確認されていない。
神の呼吸を使う者が常中をすると、不思議な力が手に入る。
↓↓↓
傷や痛みの緩和、毒の中和、など…
神の呼吸については、謎が多すぎる。
そしてまだ、
『神の呼吸の型はすべて完成していない』
ーーーーーーー本編へーーーーーーー
私は今日も、鬼を斬る。
ずっと、そうしてきた。
でも、私が斬った事にはならない。
全て、あの女の手柄となる。
呼吸も使いこなせないような、
名ばかりの"月柱"の手柄に。
それでも私は、鬼を斬り続ける。
全ては、家族を守る為。
…………
本当にこの女は、
嘘をつくのがうますぎる。
本当は、鬼に1歩も近ずかなかったくせに。
まぁ、こんなの毎日だから慣れてるけど。
これが、私の日常。
いや、今日はいつもよりマシだ。
この前なんか、
麗奈が自分でつくった痣と傷を柱達に見せて
私にやられたと言った。
柱達の反応は予想通りだった。
殴り掛かってくる者、
ただ軽蔑的な視線を送ってくる者、
怒りで震える者などだった。
柱ともあろう人達が、
嘘か本当かも分からないのか。
私は失望した。
でも正直、
どうでもいい。
家族を守れるなら、
唯一の大切な人達が幸せに暮らしていけるなら。
傷ができようがどうだっていい。
鬼さえ斬れれば、
任務さえ行ければ、
家族が元気に生きていける。
皆には、ずっと元気でいて欲しい。
その為なら私は、
どうなろうが構わない。
そもそも、もう私に自我なんて残ってない。
あの女に命令され、
言われるがままに鬼を斬る。
そして、
あの女が柱達から好かれる為に
私は"悪者"になる。
でもそれは、
仕方がない事だ。
そう思っていないと
とてもやっていけない。
私はあの女の言いなりだ。
あの女に命令されるがままに、
あの女に"光"を当てる。
まるで、
太陽が月に光を当て
月はそれを"月光"として
自らのものにしてしまうように…
私は、太陽と同じ。
暗闇でも照らし続けているのに、
暗闇で必要とされない。
"利用されている"に近い。
ただただ、
何も言わずに
月を照らす。
私は、
"何者でもない"
--------------------------------
next ⇢ 月の裏
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!