第38話

満ち足りた月。
4,687
2020/10/03 14:27






ーno sideー











その日、蝶屋敷には緊張が走っていた。











皆が、緊張した様子で…








布団で苦しそうにうなされる"三人"を見つめていた。














その理由は…









遡ること、三時間前___
















胡蝶しのぶ
あなたさんッ!!炭治郎くんッ!!
竈門炭治郎
!?
しのぶさん!!
常闇 あなた
どうしたんですか?








縁側に座ってお茶を飲んでいたあなた達の元へ、蟲柱_胡蝶しのぶが慌てた様子で走ってきた。










胡蝶しのぶは乱れた息を整えながら、大事そうに握っていたモノを二人に向けて差し出す。




竈門炭治郎
これは……?
常闇 あなた
…薬……?







差し出されたのは紙包みで、なかにナニカが入っているようすだ。










胡蝶しのぶ
ついに……ッ!
ついに完成しました……ッ!!







胡蝶しのぶは続ける。





















___"鬼を人間に戻す薬が"、と。










竈門炭治郎
!?!?
常闇 あなた
!!





待ち望んだ言葉に、二人は驚き、喜ぶ。






竈門炭治郎
ほ、本当ですか…!?
胡蝶しのぶ
ええ…!
本当です!
竈門炭治郎
これで禰豆子は…
人間に戻れるんですね…!?
胡蝶しのぶ
はい、禰豆子さんは…人間に戻れますよ。
常闇 あなた
よかったね、炭治郎…!
竈門炭治郎
ああ!
竈門炭治郎
本当にありがとうございますッ!!
胡蝶しのぶ
そんな……あなたさんがあの本を渡してくれなかったら、こんなにもはやく完成出来なかったです
私と…珠世さんから、お礼を。
常闇 あなた
いえいえそんな…あれは父の生きた証、みたいなモノだったので……胡蝶さんに渡してよかったです。
竈門炭治郎
!?
珠世さんは今何処に……!?
胡蝶しのぶ
珠世さんなら…愈史郎さんの血鬼術がかかった隠れ家にいます。
今晩……蝶屋敷までいらっしゃるそうです。
竈門炭治郎
!?!
竈門炭治郎
ということは……
胡蝶しのぶ
…ええ。
今晩……














.
胡蝶しのぶ
___禰豆子さんと珠世さんと愈史郎さんを、人間に戻します。
常闇 あなた
竈門炭治郎
!?!!
今夜…ですか…!?
胡蝶しのぶ
はい、今夜です。
珠世さんは……初めは人間には戻らない、と仰っていましたが…
愈史郎さんに説得されて、人に戻る決意をされたそうです。
常闇 あなた
……今夜は…






"大変な夜"に、なりますね
胡蝶しのぶ
…はい、そうですね。

……炭治郎くん。
竈門炭治郎
はい…?


しのぶは真剣な顔つきで、炭治郎を見る。


胡蝶しのぶ
……この薬は、人間に戻れると思います。












.
胡蝶しのぶ
___ですが、





"絶対"は存在しません。
竈門炭治郎
………そう、ですね…
胡蝶しのぶ
……人に戻る途中で、何かしらの異常が起こるかもしれないですし、

___命を、落とすかもしれない。
竈門炭治郎
!?
胡蝶しのぶ
……それでも、成功したら…

禰豆子さんは、人間として生きることが出来ます。
竈門炭治郎
……
胡蝶しのぶ
……薬、禰豆子さんに飲ませますか…?







炭治郎は五秒間黙り込んだ後、













しのぶの目を真っ直ぐ見つめ、



ハッキリと答える。




竈門炭治郎
はい、俺は……禰豆子を人間に戻す為にここまで来ました。
禰豆子に……薬を、飲ませます。
胡蝶しのぶ
……わかりました。
早急に準備をします。























___そして、現在に至る。















薬を飲んだ禰豆子、珠世、愈史郎の三人は、苦しそうに魘されている。




















我妻善逸
禰豆子ちゃん……
嘴平伊之助
おい紋次郎…
コイツら、大丈夫なんかよ…
竈門炭治郎
……大丈夫だ。
この三人なら…必ず、人間に戻って……目を覚ます。
胡蝶しのぶ
……不安なのはわかりますが…





なにも柱全員が集まることはないんじゃ…
甘露寺蜜璃
禰豆子ちゃん達が心配で仕方がなかったもの…!
来ちゃったわ!め、迷惑だったかしら!?ごめんなさい!
伊黒小芭内
……甘露寺が行くなら俺も行くのが当たり前だろう。
冨岡義勇
……禰豆子(の様子)を見に来た
宇髄天元
鬼が人に戻るだなんてド派手だからな
悲鳴嶼行冥
……南無
不死川実弥
……鬼が人に戻るなんたァ…有り得ねぇ話だァ…
…この目で確かめるに決まってんだろォが
煉獄杏寿郎
うむ……俺も不死川と同じだ…!
胡蝶しのぶ
はぁ……
皆さん揃いも揃って…
竈門炭治郎
…あれ……?
そういえば……あなたは…?
時透無一郎
…あれ、本当だ……
胡蝶しのぶ
さっきまでは居たんですけど……おかしいですね…












皆があなたの姿が見当たらない事に気づき、疑問を抱く。






































___その頃、産屋敷邸では。
















産屋敷耀哉
…よく来たね、あなた。
常闇 あなた
……はい、お館様。
産屋敷耀哉
……あまね、本当に…いいんだね?
子供達と共に、違う屋敷に逃げなくても。
あなた……君も、一人で背負う必要はないんじゃ無いのかい…?
産屋敷あまね
…もちろんです。
私は……貴方と生涯を共にすると誓った身。
貴方が行くのなら……私も同じ場所へ。
……どうか、お供させて下さい。
常闇 あなた
……私は…『悪鬼滅殺』を誓ったのです。
鬼の首魁しゅかいを倒すのと引き換えに、己の命を差し出す。
………躊躇ためらいも、戸惑いもありません。
…全ては、皆の為に。
産屋敷耀哉
……ありがとう…あまね、あなた。













そして、三人は夜空を見上げる。




















産屋敷耀哉
…今夜は……満月だね。
常闇 あなた
…そう……ですね。














空には満ちた赫い月が、妖しく輝く。
































ベベン…ッ











産屋敷耀哉
常闇 あなた
産屋敷あまね














__琵琶の音が響く。






















庭に現れた、"深紅の瞳"をした男。

































産屋敷耀哉
…やぁ、"無惨"
やっと会えたね。




















"深紅"のその男は、妖しく笑った。



































...














"満ち足りた月"





















今宵、満月を迎えた彼らの運命は…












































まだ、誰にも…












___わからない。










----------------



next ⇢ "孤独"なアルジサマへ。






































































snntkhougnnntrntu

プリ小説オーディオドラマ