今思えば、私がこうして鬼殺隊に勧誘されているのはあの日が発端だった。
物心がつく前に既に肉親は亡くなっており、親戚の家に住んでいた。
しかしそこには殆ど私の居場所がなく、空気同様の扱いであり、パシリというものだった。
その為、私は朝 親戚たちが起きる前に暖炉に使う木材を森へ集めに行った。
その日は雪が酷く降る早朝だった。
戻るのに時間がかかってしまい…恐らく1時間ほど。
家に帰ったら血塗れだった。
…そう、家の中は親戚たちが血塗れで転がっていたのだ。
思わず息を呑み込んでしまい、血塗れの元凶であろう──鬼に見つかってしまった。
そいつは人の形をした鬼で、目の焦点が合っていない。
そう考えていると、鬼がこちらへ突進して来た。
思わず反射で避けたが、突進された家の壁は穴が空いた。
そんなの知らないと言わんばかりにまた突進して来た。
またもや反射で避け切ったが、壁が半壊。
咄嗟に隣の部屋へ逃げ込み、箪笥を扉の前に置いて食い止めた。
しかし壊そうとガタガタ鳴っている。
これはまずいと思い、足を後ろに退くと
足に何かが縋り付く感覚がした。
それは親戚だった。
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