第31話

STORY30
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2021/01/30 00:23


『 えっと、こっちか、…… 』

年が明けてすぐに私は日本を離れて、
イギリスに1人で向かった。
ばあちゃんが世界を旅したくなったのも
なんかわかる気がする。
『 ……ふぅ、 』
大きな大きな門をくぐる。
制服を着ない私を
すれ違う生徒がじろじろと奇異な目で
見てる。前と同じ。
校舎の木造の香り。懐かしいな。
( ここからは英語が日本語に見えますw )
? 「 あ!堂本さん!! 」
『 あ、トニー校長! 』
校長 「 全く。また制服着用しない
つもりかい? 」
『 なんか私の身にあってないし、』
校長 「 まぁ、卒業のタイミングでは
ちゃんと着なさい。わかった? 」
『 はいはい。教室どこ行けばいい? 』
校長 「 日本の学級方式で行くと
君は2年生のクラスだが、前回うちに
いた時にはもう進級できるレベルだったから
好きな方を選んで構わない 」
『 この前のクラスの人たちは? 』
校長 「 もう進級しているよ 」
『 じゃあ3年の学年に入ります 』
校長 「 もう一度教科選び直す? 」
『 前と同じでいいです、では。 』
校長 「 くれぐれもこの学校の品位を
損なわないよう、生活してくれたまえ。
まぁ…君は成績もいいし、根は悪くないし
いい人だって事はわかってる 」
校長 「 まぁ、身だしなみにも
気をつけて。作法も期待しているよ 」
『 あの、 』
校長 「 どうかしたかな? 」
『 どうして私を呼んだんでしょうか、 』
『 はるばる日本から。 』
校長 「 それは、学園長の判断だ 」
校長 「 素晴らしいイートンライフを。
成績にも期待しているよ。 」
『 はい。 』



ジャニーさんが言ってた。
「 王子は純粋だね 」という言葉。
初めて、大人が怖くなった。
大人は何のためにこんな事するのか、




『 今はそんな事、考える暇ないや、』
『 教室行こう、 』

コンコン🚪
? 「 はい? 」
『 日本から来ました、堂本です、 』
? 「 あ!堂本さん!!! 」
? 「 よろしくお願いします、担任のっ 」
? 「 ヘンリーと申します。
堂本さんの事はクラスの人たちから
聞いています。 」
『 悪ガキって?(笑) 』
担任 「 違いますよ(笑)
初の女生徒って。史上最高の成績と
品位を持ち、作法を知っていて、 」
担任 「 何よりも制服を着用しない___ 」

担任 「 King's Scholars王の生徒だと聞いています 」
担任 「 学園長もお褒めの言葉を
あなたに述べていました。 」
担任 「 あなたは我が伝統ある学校の
史上最高の生徒であると。
それと同時に史上最高に自由な生徒だと 」
担任 「 私は昨年入った若輩者ですが、
あなたの担任になれて光栄です 」
『 いえ。授業、楽しみにしてます。 』
担任 「 じゃあ、部屋に先に案内します 」
『 はい。 』

King's Scholars王の生徒とは
1学年で10数名の学生だけに
与えられる称号だ。
「王の学徒」である証、
「黒いガウン」を着用し、颯爽と
歩く姿はまさに王と呼ぶにふさわしい。
私は制服を着ないから、
ガウンを受け取る事はしたけど、
着たことは一回もない。

担任 「 どうして堂本さんは制服を
着ないの? 」
『 自分、そういうのあんまり
好きじゃなくて、』
『 称号もらえるのは嬉しいけど、
実力無いならそんなのは必要ないから 』

前までは自分の性格に合ってないと
思ってたからだけど、今は違う。
汚い大人から貰った称号なんて、
これっぽっちも嬉しくないから。
少しも、名誉じゃないから。

そう、思い始めた。


担任 「 ここです。 」
『 ありがとうございます 』
担任 「 教室で待っています。
次の時間からでいいので。 」
『 はい。 』


一回、ばあちゃんに聞いたことがあった。

「 どうしてばあちゃんは旅を続けるの? 」

ばあちゃんはその時、こう答えたっけ、






「 つまらない大人とか汚い大人に
なっちゃダメ。自由に生きないと
楽しくないでしょ? 」
「 人生は楽しんだもん勝ち。 」



ばあちゃんは汚い大人を沢山見てきた。
だから1人になった。


その分、自由に純粋な気持ちで
生きてるばあちゃんは、


私が世界で一番好きな大人だ。



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