第3話

第3話 ナイスガイ、受け入れる。
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2022/10/21 13:12
黒猫
黒猫
と、ここまでは覚えているんだが……、なぁ。

夢から覚めたハズだが、俺の姿が猫になってるワケで。
黒猫
黒猫
そして、目の前に写る俺の姿がコレだ。


仮に、仮にだ。
あのイケメンコスプレ野郎の言ったことがマジだとすると、

俺はすでに死んでて、生まれて変わっている、ということか?

黒猫
黒猫
考えたくねーが、今の状況を説明するには
それが一番しっくりくるな。


だが、俺はナイスガイ。
そんなことで動じるようなキャラではない。

たとえ世界が滅亡してようが、不自由なく暮らせればそれなりにやっていける。
だから猫になっても問題はないはずだが……
黒猫
黒猫
さて、何にしてもだ。
こうなったからには、生きるために色々知る必要があるな。


まず、ここはどこだ?
周りを見渡す限り俺様の知っている街並みではないぞ。

だが原始時代だとか中世だとか、異様に古い時代ってワケでもなさそうだ。

黒猫
黒猫
地面も舗装されているようだから、文明レベルも低くないだろう。

おや……?

むしろ俺が知ってる車より未来的なデザインのモノも停まっているぞ。

黒猫
黒猫
まさかここは未来……?

いや、んなわけないか。
辺りは普通の街並みだしな。これといって近代的な要素などさほど感じることもない。


当然ちゃ当然なんだろうが、樹木なんぞが異様にデケェ。

黒猫
黒猫
というかただ単に
俺が小さくなったダケなんだろうな。



まぁ、そんな状況にもすぐに対応できるのがナイスガイたる所以だな。

街路樹を無視してふたたび俺は歩き出す。
黒猫
黒猫
もう少し散策してみるか。





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― ゴッドの視点 ―

あの男に会ったのち、私はピレーの待つ神の部屋へ戻った。

神
戻りましたよ。
ピレー
ピレー
お早いお戻りで。

いつものとおり、ピレーが私を出迎える。
この神の宮殿では、私とピレーしかいない。


神
彼に会いましたが……。
ピレー
ピレー
どうかなさいましたか?
神
いえね、彼はあまり話を聞かずに転生してしまったようで。
ピレー
ピレー
……神様を蔑ろにするなど、不届き者ですね。
ピレーが処断致しましょうか?

ピレーは私に対し、絶対的な忠誠心を持っている。
私の尊厳などを傷つける恐れがあるものには容赦しない。


神
いいのです。
彼のような、良くも悪くも裏表のない性格なら、今後の生活も問題なく送れるでしょう。
ピレー
ピレー
御意。
では、この件は終了でよろしいでしょうか?
神
いえ、ここから少し私のワガママになりますが、
もうしばらく様子を見ようと思います。
ピレー
ピレー
神様がお目にかけるほどの男ですか、あれは?
神
ふふふ、どうでしょうね?

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