カタ…
『っごちそうさま、でした』
看護師)今日はよく食べたね!
『ちょっと、いっぱい食べちゃいました。笑』
最近は手術のために一生懸命治療をして、いっぱい食べてる。
看護師)あなたちゃん最近頑張ってるね。
『…え?』
看護師)拓哉くんのため?
『っなんで、それ…』
看護師)ナースステーションで話題になっててね…
『っ室さんが、言ったんだ…』
室さん。もう信用しない。
口硬いと思ってたのに…
看護師)そこまで事情はわかんないけどさ、元気になって、拓哉くんといっぱいラブラブしなさい。笑 病院でイチャラブは禁止だからね??
『…ふふ、はい。笑』
イチャラブ禁止って…
「あなたー」
『拓哉、』
今日も拓哉が来てくれた。
「今日は…じゃん!」
『え、??』
バンっと出してきたのは観光雑誌。
『…テーマパーク、特集?』
「おん!あなたが元気になって退院したらどっか行きたいなーって。ユニバでもディズニーでも。どこへでも」
『っ…ふふっ笑笑。そうだね、行きたいっ』
「こことかさー、面白そうやない?」
雑誌を開いて笑顔でいろいろ言ってくれる拓哉。
…やっぱり……
『…』
「…あなた?」
『…好き。』
「え、…」
『あぁっ、聞かなかったことにして!』
やっちゃった…
口に出てたみたい、無意識に。
「聞かへんかったことにはしぃひん。…俺だって、大好きやもん。」
『っ…うぅ、』
「キス、しても…ええ?」
『…ぅ、ん……』
いちいち聞いてくるのはずるいと思う。
ゆっくりと、優しく、音を立てずに重なった唇。
この時間がしあわせで、……幸せすぎて。
「ちゅ、……んふふ、」
『えへ、、ここ病院だよ?笑』
「そんなん、俺には関係ないもん。」
「『あはははっ笑笑』」
看護師)まったくイチャラブすんなって言ったのに…。笑
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!