炭治郎「ううん、大丈夫。」
炭治郎「鬼はもういないよ。」
「「「────────え?」」」
三郎爺さん「……炭治郎、聞きたいことがある。その目と腕、そしてその傷だらけの体はどうした?」
男性「俺もずっと気になってた。何があったんだ?」
定食屋「今までどこで何をしていたの?」
炭治郎は深呼吸をした。
炭治郎「─────実は、三郎爺さんの家に泊めてもらったあの日。禰豆子たちは鬼に襲われていたんだ。」
ぽつりぽつりと話し始める。
炭治郎「俺が帰った時にはもう.........。だけど禰豆子だけは死なずに鬼になっていた。とある鬼殺隊の方に殺されそうになったけど、助けてもらって。」
炭治郎「禰豆子を人間に戻すために、家族の仇をとるために、俺は鬼殺隊に入った。みんなが言う、あの “鬼狩り様” のことだ。」
炭治郎「そして最近、1000年の時を経て鬼を滅することが出来たんだ。この腕と目はその時の傷だな。泣き叫びたくなるくらい辛いことや苦しいことがたくさんあったけど、仲間がいたから、禰豆子がいたから、頑張れた。」
炭治郎「改めて、3人共本当にありがとう。」
全て話し終わった炭治郎が周りを見ると、みんなポロポロと涙を落としていた。
「お疲れ様炭治郎」
「よく頑張ったね」
炭治郎の体中に残った刀傷や、右目と左腕からは、どれだけ大変だったのか想像させる。
炭治郎「.......っ」
みんなで泣いた。
炭治郎がすごくすごくあたたかいのは、きっとこんなあたたかい人達と一緒に過ごしたからだ、と善逸は思った。
善逸「……いつか俺も、こんな風にあたたかい家庭を築いていきたい。」
それは自分にしか聞こえないほど小さな声で、味噌汁を冷ます息と共に消えていった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。