sideあなた
事務所に別れを告げてからまりかの家に行った。
1番早い便でロサンゼルスに行く。
それまでお邪魔させてもらう。
まりかに見送られて空港に行った。
時間まで目立たないように隅でぼーっと窓の外を眺めていた。
そんなことをしていたらたくさんの涙と一緒にみんなとの思い出があふれてきた。
会いたいなんて口に出してしまったら今すぐにでも駆け出してしまいそうだった。
必死に我慢しているけど我慢しなきゃって思う度にどんどんほくちゃが好きだ、会いたいって気持ちがあふれてくる。
そろそろ時間だ、と涙をふいて歩きだそうとした時後ろから誰かが走ってくるのが分かった。
とっさに避けた時手首と右腹部に痛みを感じた。
どんどん痛くなってくる。
ふと見ると赤いものが出ていた。
苦しんでいると窓の外が見えた。
私の幻覚かもしれないけど、ほくちゃが見えた。
そう言うと稜は警備員におさえられた。
暴れていて野次馬が集まってきた。
今ほくちゃに見つかる訳には行かない。
必死にキャリーバッグに身を預けて歩き出す。
プルルルルッ
留守番電話に繋がった。
もう私には行くところがない。
プルルルルッ
真琴からだった。
私は真琴を信じて玄関に向かって再び歩き始めた。
タクシー乗り場に着いた時ちょうど真琴が来た。
意識が消えそうな中真琴にお願いをした。
そう言うと意識が途切れた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。