第30話

託す
9,839
2019/05/15 10:01
彼女は涙を流していた。
きっと北人が話していたあなたのもとバスケ部の先輩だろう。いや、親友と言った方がいいのだろうか
ヒロさん
真琴さんですか?
笹川真琴
え、はい!…ヒロさんと涼太さんですか?
ヒロさん
はい
笹川真琴
…あなたは?
ヒロさん
まだ目がさめていません
笹川真琴
そうですか…私があなたと出会ったのは中学校でした。元気がなくて無理してるような子だったんです。初めは可愛い子やなって話しかけるようになったんですがしばらくするとあなたの小学生の頃の話をしてくれました。それからあなたは明るくて面白くてでも問題児で、でもみんなから好かれる…ほんとに可愛い後輩でした。
笹川真琴
…なんで、こんないい子が…こんなにも苦しまないといけないの……
真琴さんは泣き崩れた。
ヒロさん
あなたはとてもいい子でした。手のかかる子でしたがダンスと歌が大好きな子でした。…でも私はそんな子からバスケをうばってしまった。
笹川真琴
え…
ヒロさん
LDHに入るとそんなことしてる暇はないのに私がスカウトをしてしまったんです…
笹川真琴
…それは違いますよ?あなたはスカウトされたって喜んでました!入れたから北人さんとバスケできたんだって喜んでました
ヒロさん
そうだったのか…
片寄涼太
片寄涼太
それは俺も聞いたことがあります
片寄涼太
片寄涼太
ほんとうにLDH入れてよかった。バスケ強いところに行く夢を諦めてよかったって言ってました
ヒロさん
よかった…
たまらず病室をでてトイレに向かうと
笹川真琴
ヒロさん!
ヒロさん
はい?
真琴さんが追いかけてきた。
笹川真琴
この手紙を涼太さんに渡していただけませんか?
ヒロさん
え、今渡さないのですか?
笹川真琴
あなたが起きたときに渡して欲しいんです。
笹川真琴
もし、7月4日まで起きなかったらその日に渡して欲しいんです。
ヒロさん
分かりました
笹川真琴
お願いします。ではもう仕事に行かないといけないので
ヒロさん
またきてあげてください
笹川真琴
もちろんです
真琴さんは帰って行った。

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