俺達も、無惨も。
やはり全盛期ほどの体力も、技の洗練さもない。
…当たり前だ。
無惨はもはや、完璧な鬼ではない。
そして、俺達も鬼という脅威は消え去ったものだと思い込んでいたのだ。
故に、修行などしていないのだ。
……でも。
___守る。
あいつを、もうこれ以上、危険に晒したりはしない。
絶対に。
だから、たとえこの身が滅びようとも___
_____ザンッ。
斬撃が、2つあった。
1つは、俺の攻撃。
そしてもう1つは________
目を、見張った
優雅な佇まいで。
静かに刀を鞘に収める、一人の女がいた。
俺と同じ、風の呼吸の使い手で。
何故だか___前世で見た顔のような気もした。
ニヤニヤと、驚く俺をからかうように笑うあなた。
……あなたが___鬼殺隊士だっ、た?
待て待て待て理解が追いつかない。
ついさっき、あなたを、
危険に晒したりしないって誓ったばかりだぞ。
するとあなたは、満面の笑みで告げた。
呆れるくらい可愛いやつだなァ、と。
………そう言おうとはしたが、心の中に留めておいた。
顔が赤い気がする。気のせいだろう。きっと。
いや鬼だろ、とツッコミを入れる。
そうしてお互いが睨み合ったところで_____
___無惨との、最後の戦いが、始まった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。