第6話

散歩
11,165
2020/05/05 08:48
あなた

よし、ひーちゃん。お散歩行こっか!!
お父さんはお仕事で居ないし。

不死川 緋翠ひすい
ん! おさんぽ、する!!
そうして、支度を済ませて家を出る。

……生暖かい風が吹き通っている。
4月。今日は、キメツ学園の入学式…。
実弥さんは今頃、着々と入学式の準備を進めている事だろう。

……丁度いい日差しに、雲一つない青空。

そして、あちこちに咲き誇る満開の桜。
今日は、凄い散歩日和だ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ずぅっとまえから、きになっていることがあります。
おとーさんのことです。
おとーさんは、ひすいたちのことを、かなしそうなかおをしてみていることがあります。
ひすいは、なんでだろうって、ずっとかんがえていました。
不死川 緋翠ひすい
おかーさん。
あなた

ん? どうした?

不死川 緋翠ひすい
おとーさん、たまにかなしそうなかおしてる。…なんでかなぁ?
あなた

……よく気付けたなぁ、ひーちゃん。
実は、お母さんにも分からないんだ。

ひすいのてを、ぎゅっとして、おそらをみあげながら…おかーさんはしゃべりました。
あなた

懐かしむ様な……悲しそうな。…儚くて、何処か、自信が無さような微笑み。……そんな顔を実弥さんは……度々私に向けてくる。

あなた

何でだろうね…分からないや。

不死川 緋翠ひすい
……?
おかーさんのいっていることがむずかしくて、よくわかりません。
不死川 緋翠ひすい
じゃあ、おとーさんは、かなしいおもいをしているのかなぁ…?
そうきくと、
あなた

………そう、なのかも…しれないね。

おかーさんも、かなしいかおをして、そういいました。
おかーさん、おとーさんと、ごはんをたべて、おはなしして、おひるねしたりして、よるはねむる。

ひすいは、それだけでしあわせです。


なのになんで、おかーさんとおとーさんは、かなしいかおをするのかな。

ひすいには、よくわかりません。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
不死川実弥
不死川実弥
……ただいまァ。
玄関のドアを開け、リビングに居るであろうあなた達に聞こえるようにそう言う。
……すると、ドタバタと足音がして、
あなた

おかえり!!

不死川 緋翠ひすい
おかえり!!
あなたが緋翠を抱えて出迎えに来た。
不死川実弥
不死川実弥
…おぅ。ただいま。((ニッ
……コイツらを見てると、不安が募る。

俺がこんな幸せで良いのだろうか。

あなたの相手が、俺でよかったのだろうか。
……前世でそうだったように、また。

俺は、失うのではないか、と。
たまに、そう思ってしまう事があって。
あなた

あ、そうだ!! お萩あるけど食いますぅ? 共食いになるけど。

不死川実弥
不死川実弥
共食いじゃねぇ。………食う。
あなた

え、だって実弥さんはお萩でしょ? 甘々な脳味噌なんだかr

不死川実弥
不死川実弥
あなた………??
あなた

冗談です

不死川 緋翠ひすい
ひすいも、おはぎ、たべる!!
……けどまぁ、そんな考えも。

コイツらを見てると、結局…何処かに吹き飛んでしまって。
あなた

勿論、ひーちゃんの分だって買ってあるよ~ッッ!!

不死川実弥
不死川実弥
……お前の分はァ。
あなた

え?なi…

不死川実弥
不死川実弥
んじゃ俺要らねぇからお前が食いなァ?
あなた

けど……

不死川実弥
不死川実弥
俺はお前ら眺めてるだけで充分だからよォ。
少し……黒い笑みを、あなたの方に向ければ。
あなた

っあ~……お萩のクセにッッ…

とか言いながら、悶えるあなた。
不死川実弥
不死川実弥
(可愛いかよ………)
今日は随分と疲れていた筈なのに。

そんな疲れなど、とっくのとうに忘れてしまっていた。

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