第20話

紅を差す
8,985
2020/05/22 14:09
朝。目が覚めると見覚えのない天井。
あぁ、確か旅行に来てたんだっけか。

……ふと横を見れば。
不死川実弥
不死川実弥
ブッッ
娘と一緒に眠る妻。

寝相が悪い所為か、その妻の浴衣がはだけていた。
……幸せそうに寝やがって。
不死川実弥
不死川実弥
あ゙ーッッ………可愛いなァクソッッ……
はだけた浴衣を、あなたが起きてしまわないように……ゆっくり直す。
布団も掛け直し、もう一度俺も布団の中に潜り込んで。
あなた

スー……スー……

不死川実弥
不死川実弥
………あなた…((ニッ
そう言って小さく微笑んだ。
* * * *
あなた

パチッ

目が覚める。
と同時に違和感。

うちの天井じゃない…し、ベッドじゃない。
……あ、そっか。

旅行来てたんだっけ。
…ふと、横を見れば。
不死川実弥
不死川実弥
ジー……
あなた

へ? あ、実弥。起きてたの?

不死川実弥
不死川実弥
おー。おはよーさん((ニコッ
笑顔が眩しい。
やばいよ、うん。破壊力。

朝からコレはちょっと眩し過ぎる。
不死川実弥
不死川実弥
……どーした、顔赤くして。熱でもあんのかァ?((ニタァ
……こいつ。
熱じゃないってわかってて聞いてんな…?
あなた

いや、熱はないよ、うん、ね。

不死川実弥
不死川実弥
……へぇー。じゃあ何でそんな顔赤ェのォ?
あなた

それ、は………えーっと……

やっぱこの人、根っからSだよな。ドSだよな。
虐めるの大好きなの? この人。

……まぁ…カッコいいから全部どうでも良くなっちゃうんだけどさぁぁぁ……。
不死川実弥
不死川実弥
…俺の笑顔が眩しかった、なんてなァ。
あなた

自意識過剰かッッ!!!!!!
断じて違うッッ!!!!!!

不死川実弥
不死川実弥
おー? なぁにムキになってんだァ。
不敵な笑みを浮かべる実弥。
いや……全部カッコいいとか狡くないですか。
あなた

……もう知らん…ドエスケベ……

不死川実弥
不死川実弥
………。
あなた

………。

不死川実弥
不死川実弥
……あー…あなた?
あなた

………。

不死川実弥
不死川実弥
…なんだよ、拗ねてんのかァテメェ。
その歳で。
あなた

……一言余計

不死川実弥
不死川実弥
拗ねてんだなァ。
つーか俺にス夫とか言いやがった奴はどこのどいつだったっけなァ…?
……実弥、若干怒ってる…?
チラッと後ろを見れば、実弥のさっきの笑顔はどこかへ行ってしまい、少し眉をひそめた実弥が居た。

よく見れば、額に青筋も浮かんでいる。
あなた

あ……と、…さ、さね……み、ごめ……

不死川実弥
不死川実弥
あ゙ァ゙…?
あなた

ビクッ

やば、怒ってる……完全にッッ……。
…スマ〇ラされる……?

嫌だ、嫌だな…。アレ結構痛いんだよ。
小説の力でなんとか生きてるけどさ……。

実弥が此方へと近付く。思わず、目を瞑る。
……ギュゥッッ…
あなた

…へっ…?

身体中に行き渡る体温。
暖かい。

……え、抱きしめられてる…?
不死川実弥
不死川実弥
あー……お前よ……拗ねるとかクソ可愛い事してんじゃねぇよォ…クソッタレがァッッ……
あなた

…ハイ???

不死川実弥
不死川実弥
俺、最初っから1ミリたりとも怒ってねぇぜェ?((ニタァ
あなた

……は?

まるで小さな子供をあやすかのように、心地よいリズムで私の背中をトントンと叩く実弥。
不死川実弥
不死川実弥
悪かった悪かったァ。
なんて、離れて向き合ったかと思えば今度は私の頭を撫でてくる実弥。

……あー、何したら私の機嫌が良くなるのか全部分かってるんだもんなぁ、この人。
あなた

……惚れ直した

ぼそっと呟く。
不死川実弥
不死川実弥
おまっ……はァ~……
どうやら聞こえていたらしく、溜め息を吐かれ再度抱きしめれた。
不死川実弥
不死川実弥
……急に…んな事言うんじゃねェ……。
若干、紅を差した実弥の耳。
久し振りに赤くなってる実弥を見たかもしれない。

……いや、案外昨日の車の中とかでも見たな。
そんなくだらない事を考えながら、実弥と一緒にひーちゃんを起こした。

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