魚やら米やら味噌汁やら……。
店に出せるんじゃないかと思う程に美味な料理が、机の上に並べられている。
私は、どちらかと言えば洋食より和食派。
それは実弥さんも同じで。
そういう所も、私達って合ってるのかなぁって、度々思う。
実弥さんがひーちゃん用に骨を抜いてくれた魚を、ひーちゃんに食べさせてやる。
すると、ニパッ っと笑って、
と、笑顔で答えるひーちゃん。
……娘が可愛い。可愛すぎて辛い。
ふと、横を見ると。
何か言いたげな実弥さんがこちらを見ていた。
あれか……マイマミーが何故か私の弁当にゴーヤを入れてて。
そんで実弥さんがゴーヤ食えるって聞いて……
私の超神速アーンをお見舞したやつだ。
凄い噎せてて笑った覚えがある。
そこまで言って、口が止まる実弥さん。
少し耳が赤くなっているのが分かる。
沈黙を破ったのはひーちゃん。
もうこの子強い。強すぎる、色々。
そうして、実弥さんの口に魚を放り込む。
神速じゃなく、普通に食べさせたげたよ。偉いよな。私。
早足で寝室へ向かう。
そして布団にくるまって。
そう1人、呟いた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。