そう言ってはひーちゃんを抱き上げ、さりげなく私に歩幅を合わせて歩く。
……優しさの権化かもしれない。この人。
この世で1番優しい人……。
うん。認めたくはないが、おはぎ弟の言う通りだ。
そんな事を考えながら歩いていると、段々と人が増えてきた。
チラホラ見えるビルやマンション。
さっき泊まってた旅館の周りは、自然豊かでいかにも田舎って感じだったのに。
……それにしても何処へ向かっているのだろうか。
暫く歩いていると。
ビルの合間からチラッと見えたゴンドラらしき物。
目的地であろう場所に近付けば近付くほど、大きくなっていく今どきのJKの悲鳴。
……まさか。
頬を紅潮させ、キラキラと輝く目からは、相当喜んでいるという事がわかる。
するとひーちゃんは満面の笑みで、
その言葉の威力がどれだけの物なのか、ひーちゃんは知らない。
…案の定、実弥は失神しかけた。
私も危なかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!