第22話

行き先
8,072
2020/05/28 12:04
あなた

実弥ぃぃ!!

不死川実弥
不死川実弥
んだよォ……
あなた

何処向かってんすか

不死川実弥
不死川実弥
言わねぇっつったろォ。
不死川 緋翠ひすい
おちえて、くれないの…?
不死川実弥
不死川実弥
ゔッッ……
ひ、緋翠。抱っこしてやるからよォ、んな顔すんなァ……。
そう言ってはひーちゃんを抱き上げ、さりげなく私に歩幅を合わせて歩く。

……優しさの権化かもしれない。この人。

この世で1番優しい人……。
うん。認めたくはないが、おはぎ弟の言う通りだ。
そんな事を考えながら歩いていると、段々と人が増えてきた。
チラホラ見えるビルやマンション。
さっき泊まってた旅館の周りは、自然豊かでいかにも田舎って感じだったのに。

……それにしても何処へ向かっているのだろうか。
暫く歩いていると。
ビルの合間からチラッと見えたゴンドラらしき物。
目的地であろう場所に近付けば近付くほど、大きくなっていく今どきのJKの悲鳴。
……まさか。
不死川実弥
不死川実弥
ほら、着いたぞォ。
…前に緋翠が行きてぇっつってたからなァ。
あなた

……流石ッッ…こりゃひーちゃん喜ぶわッッ…

不死川 緋翠ひすい
わぁぁ!!
不死川 緋翠ひすい
“ゆうえんち”だぁっ…!!!
頬を紅潮させ、キラキラと輝く目からは、相当喜んでいるという事がわかる。

するとひーちゃんは満面の笑みで、
不死川 緋翠ひすい
おとーさん!! あり、がとっ!!!
不死川 緋翠ひすい
だいすき!!
不死川実弥
不死川実弥
……………あ?
その言葉の威力がどれだけの物なのか、ひーちゃんは知らない。

…案の定、実弥は失神しかけた。
私も危なかった。
不死川実弥
不死川実弥
よし、とりあえず入るかァ。
あなた

圧倒的切り替えの速さッッ
流石教師ッッッッ

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