第14話

走行中の煽り
9,593
2020/05/14 15:02
あなた

実弥ってさ。

不死川実弥
不死川実弥
あー?
あなた

不器用だよねぇ。

不死川実弥
不死川実弥
…はぁ?
運転中の実弥に、後ろから声を掛ける。
窓に映っている実弥の顔。

……青筋浮かんでる。
不死川実弥
不死川実弥
……はァ゙…?
2回目、本日2回目の「はァ?」頂きました。
怒ってますね。怒ってますねぇ。
あなた

いやぁ、なんていうのかなぁ。
…あー……。……そう!! ツンデレ属せi

不死川実弥
不死川実弥
おいテメェ、今この車のハンドル握ってんの誰だと思ってんだァ……?
あなた

……まぁー、実弥は“不器用”に優しいから…“不器用”な優しさを持ち合わせてるから、そんな脅しなんて無駄……

すると、急に車のスピードが上がった。
え、え? ちょっ……
あなた

さ、さささささささ実弥ッッ!!!!!!

不死川実弥
不死川実弥
スピード違反はしてねぇよォ。
…先に吹っかけてきたのは何処のどいつだっけなァ……?
あなた

……スミマセンデシタ

一瞬心臓止まるかと思った……。
前の車にガッシャーンしてドッカーンする未来を想像するだけで、身体の芯が震える。
不死川 緋翠ひすい
お、おか、おがあさ……ご、ごわがっだ……ひっく…
あなた

ひ、ひーちゃn

不死川実弥
不死川実弥
悪ぃッッ!! マジで悪かった緋翠ィ!! もう二度とこんな事しねぇからッッ!! だから頼む泣き止んでくれ本当悪かったァッッ!!!!!!
あなた

あーあー!! 誰かさんがひーちゃんの事泣かしたぁ。あーあー!!!!

不死川実弥
不死川実弥
いやマジで本当に悪かったッッ……緋翠、何か欲しいモンとかあるかァ…?
不死川 緋翠ひすい
……か、かざ、ぐるま。くるくるするの、ほしい。
不死川実弥
不死川実弥
おー、わかった。旅行終わったら直ぐに買いに行こうなァ?
……いやぁ、宇髄先生の言ってた通り。
娘にクソ甘だな……この人。
あなた

…実弥。私も泣いていい?

不死川実弥
不死川実弥
勝手にしろォ。…つーか事の発端はお前だろうが。
あなた

優しいって言っただけなのに…

不死川実弥
不死川実弥
………はぁ…。
本日3度目の「はぁ。」は、何だか気だるげな雰囲気を醸し出しておりますねぇ、はい。

……と、心の中で勝手に実況していると、
不死川実弥
不死川実弥
……お前はもう、俺からの愛で充分だろうがァ…
あなた

………ヘ?

窓に映っている実弥の顔。

……紅くなってる。
あなた

ちょっ、あ、え、は、はい!! 充分ですぅッッ!?!?

不死川実弥
不死川実弥
ッッ…!?!? き、聞こえてたのかよテメェッッ…!!!!!///
あなた

バッチシ私の中に記録されました今の言葉ぁぁぁ!!!

不死川実弥
不死川実弥
記録すんなァァァッッ!!!!!
その後、暫くの間…くだらない口論が続いた。
その様子を、不思議そうに眺めるひーちゃん。


……あの実弥が、ハンドルを握る手の指の先まで真っ赤になっていたのを、今でも鮮明に思い出せる。

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