食事も済ませ、部屋でゴロゴロとしていると、どっかのお萩が口を開いた。
ピタッ、と…はしゃいでいた身体が反射的に停止。
ニッコリと屈託のない笑みを浮かべる実弥。
露天風呂と聞いて、目を輝かせているひーちゃん。
手遅れだった。
* * * *
身体の汚れを落とし終わり、湯船へと浸かる。
ちゃぷちゃぷと、露天風呂に入ってはしゃぐひーちゃん。
溺れないように支え、見守っていると、
……おう、おうおうおう…。
チラチラ見え隠れしてた胸筋が、今じゃ完璧にさらけ出されてます。
……目のやり場に困る。本当に。
と、その時……肩に痛みが走った。
……痛みが走った場所に目をやる。
綺麗に咲いた紅い華…。
……“接吻痕”…。
……何と言うか、今までに見た事ないくらいのゲス顔してる。
そのゲス顔すらもカッコいいと思ってしまう私は、もう重症だ。末期だ。
あぁあぁ、本当頭に来る。
いつもいつも実弥は余裕そうな顔してさぁ。
……はっ、私だってやるときゃやる女なんだ…。
ギュッ、と。
なんかもう自暴自棄になり、実弥に…抱き着く。
タオル1枚のこの状況。
……やってやったッッ……よくやった私ッッ!!
……熱い。
露天風呂の湯が、自分の顔が、実弥の体温が。
どれをとっても熱い。
羞恥心に耐えられなくなり、バッと実弥から離れる。
スケベ川お萩。やばいよこいつ。
……何でさ…そんな、顔赤いんですかね。
あぁ、実弥の所為で身体全体が熱く……
実弥にもたれ掛かる。なんか自分の身体に巻いたはずのタオルがない気がするけど、それどころじゃ無い。
……のぼせた。
その事実を理解した数秒後、私は意識を手放した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。