3日前から熱が続いていた
次の日になって僕は病院に行って検査を受けた
思い当たるものを全部検査した
診査室に入り椅子に座って医者の話を聞く
エイズ…
どうしよう…エイズだったら。
みんなに迷惑かける…
もし、気持ち悪がられたらどうしよう
検査を受けてから1週間は不安の中にいた
そして検査結果を聞く日
そんなの無理だ。
診察室から出てお金を払い家に帰る
遥馬はいつもの明るい陽だまりのような笑顔でそう放った
僕、何年後かには死んでる。
遥馬には家族が死んだ悲しさなんか味合わせたくない
でも、でも…
急いで部屋に戻り荷物をその辺に置いてベットの中に潜る
遥馬には家族が死ぬなんて経験させたくないし
治療費だって高くて生活が苦しくなるかもしれない
遥馬や、お母さん慎吾さんに辛くて悲しい思いさせたくない。
1つの案が頭によぎった
家を誰にも気づかれないで出ていく
出ていけばみんなあんまり悲しい気持ちにならないで
僕の帰りを待ってくれるかもしれない
いつまでもここには僕の居場所を作ってくれているかもしれない
…そうしよう。
大切な家族に迷惑かけるぐらいなら居なくなった方がいい
夜のみんなが寝静まった時に湊に電話をかける
湊は少し動揺しているみたいだ
湊はずっと僕の話を何も言わず聞いてくれた
それから1週間は遥馬と海に行ったり
お兄ちゃんのお墓参り行ったり
ゲームセンターに行ったり
家族みんなでカラオケ行ったり
バーベキューしたり
公園で遊んだりした
そして、公園で沢山遊んだ日の真夜中
数着の服とスマホ、ノート、レターセットを持って家を出た
スマホには沢山思い出を残しておいた
もう、悔いはない
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!