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第4話

おやすみなさい、お嬢様
834
2021/06/25 17:00
星が輝く綺麗な夜

空には大きな月が浮かぶ

右手にある窓から明かりが差し込む

そして、どぬくの優しい声が意識を眠気へと誘う
どぬく
どぬく
そして、王子様とお姫様は幸せにくらしましたとさ
どぬく
どぬく
おしまい
あなた

ふふ
楽しかった

どぬく
どぬく
もう
あなたお嬢様はいつまで寝る前に本を読ませる気ですかぁ
どぬくは微笑む
あなた

だってどぬくが本読んでくれないと寝れないよ

どぬく
どぬく
まだ眠くないんですかぁ?
あなた

えへへ…

どぬく
どぬく
仕方ないですね
眠れるようにホットミルクもって来ますね
あなた

クッキーも持ってきてねー

どぬく
どぬく
こんな時間に食べるんですか?
あなた

よろしくねー

ふふ
どぬくは優しいからなんでも聞いてくれる
だからこんな時間でもお菓子たべちゃうもんね〜
どぬく
どぬく
はい
分かりました
バタン
どぬくが出ていったのを確認すると、大きなあくびをした
あなた

ふわぁぁぁ…

眠いなぁ
でもどぬくともっとおしゃべりしたいな
そんなことを思っていると窓がカタカタとなる
あなた

今日の夜は風強いなぁ

なんて、軽い気持ちで思っているようなこととは全く違うことが起こった
あなた

·····!!

いきなりひたりと首筋に何かがあたった

冷たくて
平たくて

視界の隅から見えたのは
月の光でうっすら光る

鋭利なナイフ

冷や汗が頬をつたう
眠気なんてとっくに覚めた頭で必死に状況を理解する


誰かいる
あなた

ひっ…

???
???
しっ
喋るなよ
???
???
喋ったらコイツで刺す
な、なんなの
誰!
やだ、やだやだ
死にたくない
怖い
怖い怖い怖い
あなた

た..けて.

???
???
聞こえなかったのか
静かにしろ
あなた

·····!

???
???
ワリーな
今仲間がこの屋敷に忍んでるから
お嬢さんに何かされたら厄介なんだよな
怖い
涙が手の甲にボロボロ落ちる


助けて…

どぬく!
???
???
.........ちっ
アイツらまだかよ
さっさとここからおサラバし
ドンッ
???
???
ぐおぉっ!!
男の大きな叫び声が聞こえたかと思うと
さっきまでベッドにいたのに
いつの間にか窓際の椅子の上にいた
急な出来事に驚きつつも、起こった出来事を知るため頭を動かしさっきまでいたベッドを見る
ベッドの上には何も無かった
安堵の息をつくと床にへたり込む


ポカンとした頭の上から聞き慣れた声がする
どぬく
どぬく
あなたお嬢様大丈夫ですか!
あなた

ひゃっ!

あなた

な、なんだ
どぬくか……
びっくりした
あ、はは

どぬく
どぬく
……
お嬢様
怖かったですね
あなた

……ぅぅ
うわあぁぁぁん

どぬくの胸に飛び込み泣きじゃくる
どぬくに抱きつくと、いままでの緊張感がするりと解けた
どぬくがポンポンと背中を叩き、キュッと抱きしめる
どぬく
どぬく
よしよし
大丈夫大丈夫
もう怖くないですよ
どぬく
どぬく
……
声のトーンが落ちる

この後の言葉を

私は覚えていない
どぬく
どぬく
絶対大丈夫です
俺のそばに居たら
どぬく
どぬく
こんなことがまた起きるなら
どぬく
どぬく
ずっと一緒にいた方が安全しあわせですね
どぬく
どぬく
ね、お嬢様♡

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