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第1話

おはようございます、お嬢様
1,208
2021/03/06 18:39
毎朝コンコン、という音で目を覚ます
いつものように重たい目を擦りながら起き上がる
ベッドの側の机に置いてあるコップに注がれた水を一口飲む
コクリ
あなた

はい

ガチャ
ここから少し離れたドアから執事が顔を出す
じゃぱぱ
じゃぱぱ
おはようございます!
あなたお嬢様!
あなた

おはよう

じゃぱぱ
じゃぱぱ
カーテン開けますね
シャラシャラシャラシャラ
ポカポカと外の日差しが暖かい
じゃぱぱ
じゃぱぱ
目は覚めましたか?
あなた

そうね
もう覚めたわ

いつものように少し高いベッドを降りる
じゃぱぱ
じゃぱぱ
では、身だしなみを整えて広間においでください!
あなた

わかったわ

と、いつもと変わらないことを言う
いつもと同じように顔を洗い、ドレスに着替える
コツコツと靴の音がよく響く長い廊下を歩き、広間へ向かう
ステンドグラスの窓が透けて廊下に色とりどりな影を写している
あなた

今日はいい天気ね

と、ポツリと呟く

外でティータイムでもしようかしら
広間へ続く大きなドアを通り、誰もいないテーブルにつく
あなた

今日も一人なのね

と、呟く
お父様は仕事で別領にいて本館には私一人

お母様は数年前に病気で…
と、暗い気持ちに沈みかけたとき、目の前に美味しそうな朝食が運ばれてきた
あなた

いただくわ

フーフー
コクッ


カチャカチャ
ハムッ



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
コクッ

と、食後のアフタヌーンティーを飲み干す
あなた

美味しかったわ

じゃぱぱ
じゃぱぱ
料理長に伝えておきますね!
じゃぱぱ
じゃぱぱ
あ、そういえばお嬢様!
今朝、街の店の青年から手紙が届いてましたけど見なくてもよろしいですね
ビクッ

なぜかじゃぱぱの目がいつもと違うような

静かで怖いわ
あなた

ポ、ポールのこと?
なぜ?
大切なことかもしれないじゃない

じゃぱぱ
じゃぱぱ
いえ
ただの恋文だったので
えっ
あなた

中身を見たの?

じゃぱぱ
じゃぱぱ
はい!
何か危険があってはいけないので!
あなた

じゃあ見せてくれない?

じゃぱぱ
じゃぱぱ
なぜ見るのですか?
見たかったんですか
ビクッ

気の所為じゃない
いつからこんなふうに?

こ、怖い目で見ないで
あなた

見てはいけないの?

じゃぱぱ
じゃぱぱ
はい
ですのでこちらで処分しますね
スッと服の内ポケットに入れようとしたとき思わず手を伸ばしてしまった
あなた

あっ

しまった
もう遅かった

私はなぜ手を伸ばしてしまったのだろう

あの鋭く冷たい目を見ていたのに
じゃぱぱ
じゃぱぱ
……
じゃぱぱ
じゃぱぱ
お嬢様、こちらをどうぞ!
と、先程アフタヌーンティーを飲んだのに飲めといわんばかりに紅茶を入れてきた
あの冷たく静かな目で見られていたので喉もカラカラになっていた
圧がかけられていた最中、コクリ、と一口飲む
じゃぱぱ
じゃぱぱ
…………
お嬢様を誰かに取られる訳にはいかないのです
あなた

な、何言っ
うっ、い、

い、痛い!!
頭が、身体が、
気持ち悪い
しんどい
痛い
ガシャン

ティーカップが割れる音がする
あなた

な、なんな

目の前が暗転していく
苦しい息が絶えそうになった時、遠くの方でじゃぱぱの声が聞こえた気がする
じゃぱぱ
じゃぱぱ
これで、これでお嬢様とずっと一緒に♡

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