第159話
いつもとは違う撮影に…①
重岡side
カメラマン
「穂乃ノさん!もっと笑って〜!」
今はan・anの撮影中。
俺と神ちゃんの間に穂乃ノさんが居る。
この女性は今人気が出ている女優さんの1人。
俺らの撮影にはなかなか女優さんと一緒にと言う
撮影は今回が初めて。
でも何故こうなったのかにはちゃんとした理由が
あった。
〜1時間前〜
in 楽屋
事の発端はこの濵ちゃんの一言から。
濵ちゃんは大きな声を出したと同時に勢い良く
座っていたソファーから立ち上がった。
小瀧も機嫌を取り戻して行ったちょうど位
楽屋の扉がノックされそのままスタッフさんが
中に入ってきた。
スタッフ
「あなたさんの代わりが今日来てて…。」
そのスタッフさんの言葉で楽屋の空気は悪くなった。
スタッフさん
「はい…。女優さんです。」
あなたの代わりが女優ってなんやねん。
俺らには代わりなんて居らんねんけど。
スタッフ
「もう相手の方の準備が整ってしまっていて…。」
それはつまり…
俺ら全員最悪の気分になっていた。
あなたの代わりとして俺らと撮影して
1人だけ楽しんで舞い上がって…。
下手したらあなたがしないようなことを
その女優さんは普通にすると思う。
そう、あくまであなたの代わり。
あなたが合成する時にどこにどう映るのかという
場所の代わり。
つまり、あなたが合成する時の立ち位置の代わり。
だからその女優さんが
オーダーしたり変なことするなんて
ありえない。あったら行けないから。
スタッフ
「分かりました。」
まだまだ不満が残っている中
スタッフさんは楽屋を退出しその後直ぐに
また俺たちを呼びに楽屋に来てくれた。
そして冒頭に戻る。
彼女は俺たちと共演したいって言ってた割には
…いや、やからだと思うけど
緊張していた。
やから笑顔でいなきゃいけない所も
彼女の表情は強ばっていた。
中々撮影も進まずにいると彼女のマネージャーから
休憩の指示が出た。
俺らは一箇所に詰まって今まで撮った写真を
マネージャーと一緒に確認しながら
汗を拭いたり、水分とったりとしていた。
俺の隣は神ちゃんと濵ちゃん。
2人の顔は結構厳しい顔つきやった。
立ち位置は撮影のイメージによって全員変わる。
今3人で見てるのは、
穂乃ノさんが小瀧の腰や流星の手を
いやらしく触っている。
俺らの後ろに小瀧と流星が立っていて
2人とも俺らが確認していた写真を見ていた。
流星は強がっていた感じだが小瀧は…
恐怖だったのだろう。
写真を見るなり急にしゃがみこんでしまい
泣きながら震えていた。
思い出してしまったのか
過呼吸気味になってしまった小瀧。
まだ床にしゃがみこんでいる小瀧を
ゆっくり立たせて、撮影場所を出る。
楽屋までもうちょっとという所で…
穂乃ノさんが楽屋近くにいて
俺らの姿を見つけた瞬間声をかけたきた。
小瀧は声を聞く度に体がビクッと驚き
元々俺は小瀧を支えながら歩いていたが
更に小瀧は俺の方に体重をかけてきた。
すると俺らの楽屋から扉が開いた。
そこから出てきたのは…
仕事中のはずのあなたが楽屋から出てきた。
あなたが怒るのなんてデビューしてからあまりない。
穂乃ノさんもあなたの大きな声に怖がっていた。
穂乃ノさんをしばらく睨んだあなたは
後ろを振り返ってあなたは小瀧を見た瞬間
自分を責めているような顔をした。
俺が支えていた腕を解き、
あなたは背中に小瀧を乗せた。
それだけ言って直ぐに楽屋に戻ったあなた。
俺も早足で楽屋に入った。
横目で見た穂乃ノさんは下を向いて唇を噛んでいた。