第163話

久しぶりの撮影
1,305
2020/09/05 04:06
金井side
皆の前で過呼吸を起こしてしまったあの日から
更に数日が経った今日。
あまり行きたくない仕事場…ドラマの撮影現場に
向かう。

出演者には元々予定されていた女優さんが怪我を
してしまったらしくこの作品には出られず
別の人がこの人の代わりに入った。

その女が、宮下穂乃。
何をするか分からないが、何かさせると
直感で思ってる。
金井
金井
…はぁ、行くか。
マネージャーから連絡が入ったのを確認し
車に乗って撮影現場に向かった。


















スタッフ
「村田晶役、金井あなたさん入られます!」
金井
金井
よろしくお願いします!
周りにいるスタッフさんに挨拶をして
今日一緒に撮影をする共演者の方にも挨拶をした。
女優①「あなたさん!よろしくお願いします!」
金井
金井
あっ!よろしくお願いします!
映画ぶりですね!
共演経験がある女優さんが挨拶しに来てくれて
そのまま他愛もない話が続いた。
この女優さんと話すのはとても楽しいし好きな時間。

相談にもちゃんと乗ってくれる、尊敬する先輩。

話していると俺と女優さんの間に誰かが入ってきた。
穂乃ノ(ほのの)
穂乃ノ(ほのの)
おはようございます!
今日はよろしくお願いします!
…何の話していたんですか??
宮下が突然入り込んできた。
突然のことに女優さんも困っていた。
金井
金井
…割り込むなや。
穂乃ノ(ほのの)
穂乃ノ(ほのの)
…だって!
いつも私と話してくれないから
嫉妬した!!
誤解を生むような爆弾発言に
俺も女優さんも目が点に。
金井
金井
…いや、付き合ってへんやろ?笑
それに勝手に嫉妬されんのも
困るわ。
学生時代と変わらない態度にイライラしてると
運良くスタッフさんに声がかかり
その場を後にした。



スタッフさんと多少の打ち合わせも終わり
いざリハーサルに。
セットに俺と女優さんと宮下が入る。

俺が1番最後にセットに入って
監督さんからの指示を聞き立ち位置に立って
台本を読み込んだ。




俺が台本を読み込んでるのをみた宮下が
女優さんに耳打ちしていたり女優さんに対して
悪質な行為をしていたことはこの時は知らなかった。




























監督
「カット!!OK!昼休憩に入ろう!!」

大きな監督の声がかかり午前撮る予定のものが
全て撮り終えた為一旦昼休憩に入る。

共演者からの差し入れや
ご当地弁当などが置かれているフロアに向かった。

今日は俺の差し入れした関西しか売っていない
お菓子や豚まんなどをスタッフさんも合わせて計100個差し入れした。

そのおかげか俺が差し入れしたものが
あと少しでなくなる位減っていた。
金井
金井
…美味いよな〜。これ。
どれを食べようか迷っていると
紙が貼られたお皿の前に立った。

紙には
「ジャニーズWEST重岡大毅様から
カレーパン頂きました!!」



「ジャニーズWEST濵田崇裕様から
美味しいビーフシチュー頂きました!!」

と書かれていた。
金井
金井
…いつの間に差し入れしてん笑笑
大毅は俺の大好きなパン屋のカレーパンを
崇裕はきっとこれ食べて疲れとって!っていう
感じで自分の好きな物を差し入れしたんやろうな…。

差し入れを買っている2人を想像して
思わず笑みが零れた。
2人のありがたい気持ちを受け取って
2人からの差し入れを食べた。

マネージャーからスマホを受け取り
カレーパンとビーフシチューと俺の写真を
大毅と崇裕に送った。

2人は今日offだったのか直ぐに返信がきて
2人とも頑張れよと言ってくれた。

2人の飯とメールのおかげで
夜まで続くこの撮影も頑張れる気がした。





















優雅に差し入れのご飯を食べている俺は
この先に起こる悲劇と度重なる悲劇や
精神的苦痛を味わうことになるなんて
分からなかった。

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