濵田side
俺の家に入れれば直ぐにソファに向かって
あなたはお気に入りのクッションを抱きしめて
ソファに寝っ転がった。
突然涙を流し始めたあなた。
俺もすぐ膝を着いて頭を撫でた。
のそのそっと起き上がったあなたは
そのまま倒れ込むように俺の胸に飛び込んできた。
俺も直ぐに受け止めてあなたを抱きしめた。
遠慮がちにあなたの腕も俺の背中に回った。
しばらく抱きしめていたら
いつの間にか寝ていたあなた。
起こさないようにゆっくり
ソファに寝かせてお気に入りのクッションを
手に握らせてあげて
俺はご飯の準備をした。
冷蔵庫に入っている食材を全部出して
足りるご飯を携帯でレシピを探して
あなたが好きなご飯を作ろうと決めて
携帯の手順通りにご飯を作っていた時
ガバっていう効果音が付きそうな起きた後
俺の名前を呼んだから直ぐに台所から
声を出せばあなたは走って抱きついてきた。
背中を一定のリズムで優しく叩けば
ギュッて強い力でもっと抱きついてくるあなた。
怖い夢を見たと話してくれたあなたを
俺はあなたを1人にしないという意味も込めて
抱きしめた。
暫くすれば俺から体を離したあなた。
顔色も良くなっていた。
男2人台所で並んでご飯を作る。
久しぶりな感じで懐かしかった。
Jr時代に1ヶ月に1、2回あったかくらいの
一緒にご飯を作る期間。
作っている間はお互いの最近の面白い話や
先輩のモノマネ、好きな歌を歌ったり
ずっと飽きない時間だった。
ご飯を食べ終えた後
俺がトイレに行って戻ってきた時
リビングからあなたが誰かと電話している
声が聞こえた。
静かにリビングに入ればまだあなたは
俺には気付いておらずずっと電話をしていた。
電話が終わったのは数分後くらい。
電話が終わって声をかけようとしたら
あなたは急いで荷物をまとめ出した
玄関まであなたを見送って
俺はマネージャーに一言連絡して
皿を洗った。
あの時俺は何があっても
一緒に行けばよかったんや。
後悔してももう遅いかも知らんけど……。
この日あなたは
誘拐された。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。