重岡side
とうとう、本番当日。
朝早くから現場に入って更に確認事を要確認して
スタッフさん、先輩方によろしくお願いしますと
頭を下げに行った時、井ノ原くんが呼び止めた。
井ノ原
「ううん!重岡くん本当にいいメンバーに恵まれたね。」
何のとこか分からなく思わず井ノ原くんに
聞き返してしまったら
俺らの近くに井ノ原くんのマネージャーさんが来て、
そのまま井ノ原くんはマネージャーさんから
携帯を受け取った。
井ノ原くんはこれこれと液晶画面を
俺にみせてくれた。
そこに映っていたのは…。
井ノ原「うん。あなたくんだよ。」
井ノ原くんとあなたのメールだった。
あなたは井ノ原くんに
俺の事をよろしくお願い致しますと
長文でメールを送っていた。
俺の性格や困っていた時にやる癖など
こと細かく送られていた。
井ノ原
「多分、あなたくんも心配してるんだよ。」
「そりゃ始めてだもんね。」
「メンバーが大きな仕事するんだから、こんなことするのは当たり前だよ。」
「まぁでもこんな長文は見たことないけどね笑」
そしたら続々と俺と井ノ原くんの周りに
北山くんや、増田くんも集まってきた。
北山「えぇ!なんでわかったの!笑」
増田「やっぱ凄いな!笑」
井ノ原「愛されてるね。重岡くん。」
会えないからこそこうやって
メールという形で頭を下げてくれるメンバー、あなた。
嬉しいなって言う気持ちとこの間の食事を思い出して
緊張が解けたような気がした。
あなたが先輩に俺の事を言ってくれたから
俺もその期待に答えなきゃあかん。
テレビの前で見ているメンバーのためにも
俺が頑張らなあかん。
俺がいい流れを作ってWESTに貢献するんや。
…いや、してみせるんや。
井ノ原
「おう!よろしくな!」
北山
「よろしく!」
増田
「頑張ろうな。」
去っていく時俺の肩を叩いて先輩方は控え室に戻った。
俺も慌てて控え室に戻って携帯を取りだし
あなたに連絡を入れた。
〜メール〜
他のメンバーからも連絡が入っていて
全てに連絡を返した。
本番1時間前
再びあなたから連絡が入った。
携帯を開いて、あなたのトーク画面を開けば
そこには動画が送られていた。
動画の内容は俺以外のメンバーが円陣を組んでいた。
濵ちゃんの声を筆頭に神ちゃんが
俺らの代名詞の掛け声を言っていた。
その後メンバー全員がハイタッチして終わっていた。
せやな。
番組を盛り上げられるのもここにいる俺次第。
番組を俺らしく頑張るのもここにいる俺次第。
あなたに返信をし終えた時
スタッフさんが丁度迎えに来てくれた。
頬を叩いて気合を入れる。
スタッフさんと並んで歩いている時
聞こえないはずのメンバーの声が聞こえた気がした。
大きな扉の前に立って
パーソナリティ全員が揃った。
俺らしく、俺ららしく番組を最後まで走り抜く。
見ててな?
スタンバイ中あなたの声で大丈夫、頑張れが
聞こえた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!