濵田side
あれから何分経ったやろう…。
今もまだあなたの部屋は慌しい。
早くあなたに会いたい。
早くあなたに触れたい。
苦しかったよなって頭を撫でてあげたい。
望と淳太が来て、あなたの病室を見た。
医師
「お待たせしました。もう大丈夫です。
あなたさんが目を覚ましたらお呼びください。」
先生と看護師があなたの部屋から出るのと
すれ違うように俺らは急いであなたの部屋入る。
目に入ったのは
腕には何本もの点滴のチューブと口には酸素マスクをつけて寝ているあなたの姿。
過呼吸と喘息の発作でこんなにも苦しむあなたを見て
心が痛くなった。
俺は寝ているあなたの頭を撫でた。
仕事が終わってしげと流星が来てくれた。
しげと流星は荷物をあなたのベッドの
近くに置き、あなたに近寄る。
しげはあなたの手を握り、
流星は頭を撫でた。
しげの言う通り
あなたは急に焦ったり
急に不安になったり
急に怖くなったりすると
過呼吸が起きる。
つまり今回も、あなたにとって
何かのダメージや、ショックが原因。
あなたは何を抱えてるんやろう…。
仕事が急に無くなり、
急いで走って駆けつけて来た照史と神ちゃん
流星の一言で俺らは一気に静かになる。
あなたが寝ている周りに俺らは
椅子を持ってきて座ったり壁に寄りかかったり…。
流星が俺に気を使ったのか、
濵ちゃんあなたの隣行き?と
席を外し、望の隣に行き壁に寄りかかった。
俺は寝ているあなたの手を握った。
あなたの抱えているもの半分こしたい。
微かに手がピクっと反応した。
俺の声に壁に寄りかかってたメンバーも
ベッドのの方に近付く。
もう一度あなたの手が反応した。
すると
ゆっくりゆっくりあなたの目が開く。
ゆっくりゆっくり小さく俺の名前を呼んだあなた。
酸素マスクしながらやからちょっと喋りにくそう。
照史がナースコールを押し先生を呼ぶ。
医師
「失礼します。起きましたね。
酸素マスク、外しますね。」
先生が入ってきて、あなたから酸素マスクが
外されその後も色々何かをやっていく先生。
どんどんあなたの顔色も良くなっていく。
医師
「ソロラジオの事なのですが…」
医師
「リモート出演なら我々は許可出せます。
ただ、あなたさん自信がスタジオに行くのは行けません。もし万が一生放送中に体調が悪くなった場合のことも考えて、我々も待機させて頂きます。」
ちょっと悔しそうなあなた。
医師
「では私からは以上です。」
部屋から出ようとした先生を
あなたが止めた。
医師
「何かありましたか?」
深刻な顔をして先生に聞くあなた。
きっと過呼吸を起こしたのは
退院した次からのあなたの仕事の穴埋めに
不安だったから。
誰かが俺抜きでもいいと言わないだろうか。
誰かがやっぱり白色入らないよと言わないだろうか。
あくまで憶測やけど、あなたはそう思ったと思う。
この間のスタッフさんの声がプレッシャー
になったんやろう。
医師
「延びないように我々も頑張ります。
あなたも頑張りましょう。」
“なんとも言えない。”
きっとそういうこと。
俺アホやけど、そういうことはよく分かる。
先生が部屋から出て行く。
そして…
そうか。
あの時しげも居たもんな。
いや、しげがやめろって止めたんよな。
しげがあなたの隣に居き
優しく背中を撫でる。
しげに背中を撫でてもらってるあなた。
少しだけ笑顔が見えた。
相棒として、メンバーとして、男として。
俺はあなたの笑顔を守る。
Jrの頃からの誓いが、今も胸を強くした。
この思いは忘れちゃいけない。
強く胸に抱いた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。