重岡side
俺は今、あなたの病院の裏口ドアの近くに立っている。
入れないでいるのはそのドアの前に怪しい2人組の
男の人が立っていたから。
マスコミ関係者なのか違うのか…。
しばらく見ていると男の1人が俺に気付き
駆け足でドアの前から立ち去った。
「あなたは大丈夫なのか。」
俺の頭にその考えが浮かび男が立ち去った後
直ぐにドアを開き駆け足であなたの部屋に向かった。
直ぐにあなたの部屋に着いて息を整えて
ドアをノックする。
中から聞こえるはずの返事が聞こえなかった為
俺は慌てて扉を開けた。
俺がでかい声を出しながら中に入ったら
肩をビクッと跳ねさせながら
俺の方を向いたあなた。
移動式の机の上には大量の資料が置かれており
俺がそっちに視線をずらすと
あなたは慌ててその資料を集めて布団の中に隠した。
あえて隠した資料には触れず
ドアをノックしても気付かなかったあなたに
違和感を覚えたためそっちに話題を逸らした。
そのままあなたは不器用に布団を頭に被って
閉じこもってしまった。
布団の中から小さい声で「なんで」と言ったあなた。
それは俺の台詞に向けてなのか。
読んでいるであろう資料についてなのか。
色々考えていたらガサッと布団から飛び起きて
恐怖や不安を訴えているような目を俺に向けてきた。
そんな時、あなたの部屋の扉が空いた。
外から入ってきたのはあの俺が見たスーツの男の
1人やった。
その1人があなたを見るな否や
顔色を変えて走ってきた。
俺の間に割り込んできてあなたの手を掴もうと
男が手を伸ばした時俺は訳分からんくて
もしかしたらこの人も関わってるんちゃうかと
思ってしまい
俺は男の手を払いあなたを抱きしめるように
男からあなたを守った。
スーツ男①
「そっちこそ、離れてくれます?」
そう言って俺の腕の中にいるあなたを
無理矢理男が男の方へと連れていこうとするのを
俺は更に腕の力を強めあなたを行かせないように
男の手も振り払った。
あなたも怖くなったのだろうか右腕を
俺の手首を持ってぎゅっと力を込めた。
まだ腕の中で過呼吸を起こしているあなた。
俺は一旦男を放っておき腕の中のあなたを落ち着かせる
事にした。
あなたの視界から男を見えないように
あなたを抱え直して俺はあなたの頭を
優しく俺の胸にピッタリ付けた。
スーツ男①
「酷くなってへん? 笑えるんやけど笑」
するとまた部屋のドアが空いた。
もう1人の男かなとまた更に俺はあなたのことを
強く抱き締め入ってくる人を待っていた。
でも次に入ってきたのは予想外の人やった。
濵ちゃんが入ってきた。
濵ちゃんは俺らを見て直ぐに駆け寄ってきてくれた。
膝立てをして濵ちゃんは反対側から
俺ごと優しく包み込んだ。
濵ちゃんは優しく俺の頭を撫でてくれて
その行為に驚いていると
濵ちゃんはあなたを姫抱きにして
ベッドに優しく下ろした後
濵ちゃんは自分のカバンから白色の巾着を
取り出したところで
濵ちゃんはベッドの周りをカーテンで閉めて
何も見えないようにした。
カーテンの中から濵ちゃんの声が聞こえたが
一向にあなたの声は聞こえなかった。
男に見えないように反対側まで周り
カーテンの中に入る。
濵ちゃんの手には数本の注射器が。
きっとその注射器を打ちたいのに
あなたが暴れてまうんやろ。
濵ちゃんが持ってるってことは
もしかしたら常備してるってことか??
…今気付いたけど
あいつあの資料どこに閉まってん?
ふわふわなあなたはそう小さく教えてくれた。
濵ちゃんがおやすみと頭を優しく撫でて
布団を優しくあなたにかけたら
あなたはその布団の端を手で掴んで
そのまま目を閉じ眠った。
濵ちゃんと俺は目を合わせ
カーテンから出る。
するとそこに居たはずのあの男はもう居らず
居なくなっていた。
んっ…?
「また来てた」って…?
気になるけどどこか濵ちゃんが居るなら大丈夫やなと
安心している俺が居った。
でも今思えばこの時に
ちゃんと俺も話を聞いておけば
2人を傷つけずには済んだのかもな…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!