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第113話

ありがとう
金井side
金井
金井
お待たせ。崇裕。
濵田崇裕
濵田崇裕
………っ。
帰る支度をわざとゆっくりしている崇裕。
金井
金井
なぁ…崇裕。
俺が崇裕を守った時、オトンも……
同じ気持ちやったんちゃうんかなって
思ったんよ。
濵田崇裕
濵田崇裕
あなた…。
金井
金井
俺さ…崇裕守った時
オトンの顔思い出したんよ。
濵田崇裕
濵田崇裕
…おじさんの?
金井
金井
おん…。
俺を…俺らを守ってくれた時の
あの顔。
最後まで優しくて暖かくて…。
今すぐにでも会いたい…。
しばらくオトンが居るであろう空を見つめてた。
金井
金井
崇裕………、
俺らは間違ってないよな……?
あの時、オトンを………
オトンを置いて逃げて行ったこと
間違ってないよな……?





あの時のことは鮮明に覚えてる。

俺の家族と崇裕で村の奥でBBQをしていた。
その夜皆で肉を囲んで食べていた時やった。

なんか知らん男らが数人こっちに来て
拳銃を向けてきた。
まだ小さかった弟や妹は恐怖でパニックになり
泣いていた。
俺はそっちに気を取られていて
弟や妹の方の相手をしていた俺の方に
オトンとの崇裕が走ってきて、
俺と弟や妹を守るようにオトンは俺の前に
立っていて、崇裕は大きな手を広げ俺らを
抱きしめるように守ってくてた。
その時に気がついた。
俺の方に拳銃が向けられているってことを。


そして、オトンは俺たちに小さい声で
“俺がおとりになるからお前らは逃げろ”と。
俺の大好きな笑顔と共に告げて
崇裕に向かって大きく頷いたオトンは
男たちの方に向かって歩いて行った。

俺はその背中を見守ることしか出来なかった。
本音は行かないでと、一緒に逃げようと
言いたかった。
横を見れば崇裕も何かを言いたそうな顔をしていた。
それでも、崇裕は妹を抱き上げて
俺らに行くぞと声をかけて、俺も弟を抱き上げ
走っていった。

そして、山を下っている時に拳銃の音が
大きく響き渡った。

銃声の音で俺は1度立ち止まり、振り返った。
それでも崇裕は俺に肩をポンっと叩いて
また歩き出し、山を下りた。
山を下りきった後、
俺らはオトンが運転していた車に乗り込み
オトンの帰りを待った。

だが、何分待ってもオトンは戻ってこなかった。
むしろ、山には銃声の音を聞き警察と救急車が
何台も来た。
俺らは警察に事情聴取をされてた時
オトンが遺体で見つかったと聞かされた。
しかし、オトンを殺した犯人はもう現場にはおらず、逃げたと言っていた。

オカンと上の兄と姉は泣き崩れていたが
弟たちはなんのこっちゃ。
俺と崇裕は自分たちが泣くよりも
事情聴取や弟たちの面倒に精一杯で
「泣きたかった」けど「泣けなかった」

今思えばあの時「泣けなかった」のは
オトンがお前らは泣くなと言われてるみたいで…。
よく3人でご飯を食べたりして
沢山笑って、夢語りかって……。

あの日々を思い出すとなんだか涙が止まらなかった。
濵田崇裕
濵田崇裕
間違ってない。
あれは誰が何と言おうと
間違ってない。
少なくとも俺が保証する。
大丈夫やから。大丈夫。
そう言って強く抱き締めてくれた崇裕。

きっとあの時オトンが崇裕に向かって
大きく頷いたのには意味があったのではないかと思ってる。
だから崇裕はその場にいた張本人だからとかではなく、オトンとの何かを守っているから
守ったからこそそう言ってくれるんだと思った。








急にあの時の状況やらを思い出してしまい
息をすることが、呼吸をすることが
難しくなった。
金井
金井
ハァハァ…崇裕…ハァハァ
濵田崇裕
濵田崇裕
大丈夫。大丈夫。
ゆっくり深呼吸して。
大丈夫。俺おるから。ゆっくり〜。
金井
金井
ハァハァハァハァハァハァ…
濵田崇裕
濵田崇裕
あかんな…。
あなた〜?先生呼ぶからな〜?
直ぐに楽になるで〜?
金井
金井
んっ、ハァハァハァハァハァハァ。
濵田崇裕
濵田崇裕
ゆっくりゆっくり…。
金井
金井
ハァハァハァハァ
医師
「どうされましたか…酸素マスク持ってきて。」
看護婦
「分かりました!」
医師
「濵田さん、一旦ちょっと。」
濵田崇裕
濵田崇裕
分かりました。
俺が覚えているのは
その後崇裕は先生の言うことに従って
荷物を持って廊下を出たことと。

俺は酸素マスクをつけられ、
麻酔やら点滴やらをつけられて
そのまま眠りについた。