第174話
ちょっとだけ、違和感。
金井side
あの男たちが現れて数週間経った頃。
頭の包帯も外れて左腕の骨折も驚きの速さで
もう少しで完治するという時
俺はまだベッドに座って資料を見ていた。
あの時の事件の資料。
あのスーツの人達は当時お世話になった元警察官。
この間も何故か分からないが俺の居場所を突き詰め
この資料を俺の前に差し出し何か覚えていないかと
しつこく言ってきた。
崇裕もあの2人は怪しいと2人で注意を払っていた。
1人で資料を読んでは1人で葛藤して
もがいている時、1本の電話が鳴った。
監督「📱もしもし?あなたくん?怪我はどうかな?」
監督「📱そうなんだ!あっ!ドラマの打ち合わせ
もう1回やるから今度あなたくんの病院でやるから。」
監督「📱いや、でも…。」
監督「📱そうか…。なら君のマネージャーに
そう伝えておくよ。急にごめんね!」
その後マネージャーさんに監督が電話を入れ
詳しい日程と場所が俺のメールに送られてきた。
そして、打ち合わせの日
軽く荷物を持って久しぶりに外に出た。
今日はマネージャーとサブマネージャーが
他のメンバーの方に着くため
俺はメンバーの車で打ち合わせ会場まで行く。
打ち合わせ会場となるのは
フジテレビ局内の会議室。
そこまであるメンバーの車で行く。
どうやら帰りも病院まで送ってくれるらしい。
一応断ったけどええからと言ってくれた。
その人からもう少しで着くと連絡があった。
彼の車が見えたので走って車の助手席に座った。
それから智洋の車の中では色々話していた。
俺がいない間どんな仕事が入ったのか。
舞台はどんな感じだったのかや
お互いのプライベートや
俺が入院している時何をしていたかを
順番に話していた。
病院からテレビ局までは割と近く
フジテレビのシンボルが見えてきた。
智洋は心配やからと会議室まで送ってくれる。
…ほんまありがたいわ。
フジテレビ近くの駐車場に車を停め
2人で1緒にフジテレビに入っていく。
警備員さんに頭を下げて中に入り
そのまま会議室まで歩いていた。
会議室に近くなると
スタッフさんや美術員さんなど
あの撮影に携わっている人たちが廊下の外に
沢山居た。
俺もすれ違う人全員に頭を下げたが
誰からも返してもらえなかった。
そう言って智洋は会議室のドアにもたれかかり
携帯を弄った。
会議室に入ろうとドアを開けようとしたら
中にいるスタッフさんたちの声が聞こえてきた。
スタッフ①
「いや〜、お蔵入りなるのかなってヒヤヒヤしたわ。」
スタッフ②
「確かにな笑 ってかまだ治ってないらしいぜ?」
スタッフ③
「マジかよwwってか撮影器具の下敷きになったんだよな?その器具も壊れて俺らが弁償して
絶対あいつが払うべきだったよな。」
スタッフ④
「笑笑笑ほんとな。しかもジャニーズだからって
調子乗ってるし、怪我するし
どんだけ俺らに迷惑かけたら気が済むんだろ。笑」
スタッフ⑤
「まだ来てないしな?笑」
スタッフ⑥
「もう来なくてもいいんじゃね?
あいついてもまた怪我するし足引っ張るから。」
スタッフ⑦
「だな。あいつの代わり誰来るんだろ〜。」
スタッフ全員
「笑笑笑笑笑笑笑」
大きな声で聞こえてきた
スタッフさんの俺の悪口。
…そうか、だから俺が廊下で挨拶しても
誰も返してくれなかったんや。
扉のドアノブを握っていた右手を退かし
一旦気持ちを切り替えるべく深呼吸をして
また右手をドアノブにかけた。
中に入ろうとドアノブを押したその時
ガチャとドアが開きそこからスタッフさんが
全員出てきた。
スタッフさんと目が合うと
俺はどうすればええのか分からなくなって
と小さな声で挨拶をした。
…こんな奴に挨拶したくないけど
仕事で一緒になる人達やしお世話にもなる人やから
挨拶は欠かせない。
どんな反応するのかと思い
下げていた頭を上にあげた。
すると1人のスタッフさんが
スタッフ
「…お前に誰が挨拶すんの?
迷惑かけて平気な顔して会議室して。
何?もしかして何も思ってないわけ?
…代わりの俳優さん探してもらうように
俺ら今から監督の事行くから
お前もう帰っていいよ。
誰も足引っ張って迷惑かけて調子乗ってる人とは
仕事したくないんで。はい、さようなら。」
そう言って骨折している左腕を強く押された。
携帯を弄っていた智洋が携帯をポケットに入れ
声を上げながら俺の左腕を強く押されていた
スタッフさんの手を払ってくれた。
そのまま智洋は俺の前に立って俺を守ってくれた。
すると7人のスタッフさんが智洋を囲んだ。
俺も痛い左腕を抑えながら
智洋の隣に並びいつでも智洋を守れるようにした。
智洋も諦めたらしく
スタッフの1人が俺の目の前に立った。
スタッフ①
「じゃ、目の前で見ればええ。
何も出来ひんお前はどうするんかな〜?」
気持ち悪い笑みを浮かべながら
俺の方に歩み寄ってきた。
するともう1人のスタッフが
智洋の前に立って、そいつはいきなり
智洋の顔を叩いた。
乾いた音が廊下に響き智洋の方に駆け寄ると
智洋の左頬が赤くなっていて
スタッフの手の跡が着いていた。
智洋を支え会議室の中に入れる。
そう言ってまた俺は廊下に出た。
これからは俺の勝負。
痛めている左腕を庇いながらスタッフさんの
前に立つ。
スタッフ①
「その手で何が出来る?」
スタッフ合わせて7人が俺の周りを全て囲み
逃げることは出来なかった。
どうしようか悩んでいる時
大毅の後ろには崇裕と照史も居た。
淳太と望は会議室に入って智洋の方に行った。