金井side
ジャス民、ジャスメンには内緒で
実は俺らも24時間テレビに出させてもらう。
ほんの一瞬やけど、証拠を歌う。
その時初めて、大毅と顔を合わせる。
楽屋で弟組が今まさに24時間テレビを見ている。
望はずっと大毅がワイプに映る度に
しげー!って叫んでる。
そしてまた、テレビの方へと戻って言った望。
大毅は今1人で大舞台に立っている。
周りはあまり絡んだことがない先輩方と一緒に。
そんな中久しぶり会う俺らと会って歌って
また後半頑張ろうと思ってくれたら嬉しいから。
俺らが笑顔で居らんかったら
折角緊張からほぐれる大毅にとって
求めていた場所が目の前にあってそこに飛び込み
普段通りに歌える大毅にとって
頑張らなとまた焦ったまうと思うか。
俺らが集まった時くらい
俺らと一緒に頑張って欲しいから…。
いや、大毅はもう頑張ってくれてるから
俺らが先陣切って頑張らなあかんと思うから。
スタッフ
「ジャニーズWESTの皆さん、移動お願いします!」
右側に望、左に崇裕…。
多少窮屈な廊下で大きな男3人が並んで歩く。
VTR中スタンバイするため大毅は
こっちに向かってきた。
照史がしげと呼んだだけで
大毅は笑顔になった。
今思えば、これスタンバイ中やったんやな?笑
その後イヤモニからもうすぐで始まると指示があり
皆で向き合う形でイントロが始まるのを待った。
無事に歌い終わり、俺らは次のコーナーまで
出させて頂くことに。
俺らの目の前でギネス世界記録が更新されたり
エンタの神様とコラボしたネタを一緒に見た。
俺らの出番も終わって
先輩方にはメールでは出来なかったお礼を精一杯
してから楽屋に戻った。
楽屋に戻ってからは本来なら帰るけれど
俺らはちょっとしたドッキリの準備を…。
本番も終わって今俺らは大毅が帰ってくるのを
待っている。
マネージャーによると例年ならこの後生放送の
行列に出るけれど今年は出ないけど
朝の情報番組等のインタビューしてから
戻ってくるとの事。
サプライズが始まる瞬間が刻一刻と迫っていた。
廊下から大毅らしい声と足音が聞こえてきた。
大毅が楽屋の扉を開けた瞬間から
俺らの24時間テレビ大成功会が始まる。
扉の前で大毅はスタッフさんたちに頭を下げていた。
見てなくても声量で何となく想像ができる。
隣にいた智洋もそんな感じの反応をしていた。
すると勢いよく扉が空いて外から大毅が入ってきた。
扉を閉めながらもペコペコと頭を下げる大毅は
まだ後ろにいる俺らのことを知らない。
扉を閉め終わった後大きな欠伸をして
後ろを振り返った。
大毅の顔は驚いていた。
全員持っていたクラッカーを次々に慣らしていく。
大毅はなんで居るん?と言いたそうな顔をして
クラッカーに入っていた小さな紙くずを眺めていた。
しばらく扉の近くから動かない大毅。
唯一変わったのは紙くずを眺めていたはずの
大毅の顔が俯いたくらい。
隣にいた智洋も崇裕も困惑した表情。
俺は鳴らし終わったクラッカーを机に置いて
大毅の方に近付き肩に手を置いた。
すると大毅は顔は俯いたままやったけど
俺が近くに来た瞬間、俺に飛びついてきた。
大毅は俺の胸に自分の顔を押し付けて左右に
揺らした。
顔を上げた大毅の目はちょっと赤くなっていた。
まだ頬を濡らしている涙を親指で払うと
恥ずかしかったのか乱暴に自分でふき払い
俺から離れた大毅はそのまま流星と智洋の元に。
自分も疲れているはずなのに
メンバーのことを気にする大毅。
智洋にお疲れ様と声をかけられた後に
ふにゃふにゃの笑顔を見せた後、
大毅はそのまま智洋の胸に飛び込むように
倒れ込み、智洋も慌てて受け止めゆっくりと
床に2人とも座った。
智洋が自分の胸の中で寝ている大毅を
起こさないよにゆっくり立って俺に大毅を預けた。
俺がやることを直ぐに分かった兄組は
俺の分と大毅の分の帰りの支度をしてくれた。
目を閉じでゆっくり頷く大毅。
ほんまによく頑張ったと思う。
不安の中、緊張の中24時間生放送に挑んだんやから。
俺らの力を頼らずに…。
照史が大毅の着替えを手伝え
無事に皆の帰り支度が終わり
マネージャーの車まで俺の背中に大毅を乗せ
皆で歩いて帰った。
車でもゆっくり大毅を起こさないように
座席に座らせシートベルトも締めてあげた。
その時、寝言なのか起きていたのか分からないけど
ちゃんと大毅の声でおおきにと言っていた。
おおきにって伝えたいのは俺らの方やで。
大毅、おおきに。
寝ていると信じて大毅の頭を優しく撫で
俺も隣の椅子に座った。
もう大毅は何も考えないでゆっくり寝てくれたら
それでいい。
窓の方に頭を預ける大毅の頭を優しく
自分の肩の方に持ってきて
安心した顔で寝ている大毅を見て
俺も隣で目を閉じだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。