重岡side
遠くからあなたが俺の名前を呼んだ。
振り向いたら割と近くにあなたが居て
ちょっとびっくりしたけどあなたは
俺に耳打ちしてきた。
俺らはピアノのところに行って
俺はピアノに座る。
あなたはちょっと離れたところで立って
鼻歌を歌った。
その鼻歌を聞いた小瀧と神ちゃんと流星が
席をってあなたの隣に立った。
濵ちゃん、照史、淳太達はトレイに行って戻って
来たばかりやったけど俺らを見て直ぐに
あなた達の方に向かって一緒に立った。
あなたと小瀧が肩を組んで
神ちゃんと流星が肩を組む。
立ち位置を少し崩して俺の左側に兄組
俺の右側にあなたを含めた弟組が立った。
あなたと目を合わせピアノに指を乗せ
綺麗な音を奏でた。
小瀧の歌い出しでクラスの人は急に静かになった。
騒がしかった廊下も教室も急に静かになり
教室にはピアノとメンバーの歌声が響いた。
この曲はきっと全国の学生さんに響く歌詞だと思う。
部活とかで中々上手くいかなかったり
クラスの仲のいい子達の一緒にいることで
何か違和感を感じたり…。
それでも皆は自信を持って欲しい。
間違ってないから。
間違っちゃいないから。
大サビ前の俺が大好きな所。
最初は小瀧と淳太のパート
ピアノを弾いている俺は
メンバーの顔を見ながら弾いていたけど
途中からクラスの皆の顔も見るようにした。
そしたら泣いている生徒も居て
ちゃんと届いているんやと思うと
ホンマに嬉しかった。
最後の最後まで気持ちよく弾き終わった時に
丁度6時間目のチャイムが鳴った。
俺らは慌てて自分の席に着いた。
最後俺の方にきたあなたが
優しく俺の肩をパパっと叩いて席に戻って行った。
すると後ろの席の照史が俺の肩を叩いて
ほれ!とメモ帳の1枚を渡してきた。
いつ肩に貼ってあったのか気が付かなかったが
メモ帳に書かれていた字と内容で直ぐに分かった。
そこに書かれていたのは
あなたの字で
やっぱ大毅の作った歌最高!
また歌おうな。
いや、また最高の曲作って
俺の隣で大毅はピアノ弾いて
俺たちは大毅囲んで歌おうな。
と書かれていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。