第169話
苦痛の朝
金井side
激し頭痛と激しい左手の痛みに何回も起きた。
もう大毅や他のメンバーを起こさないように
1人で頑張って耐えた。
時間なんて気付かずにずっと痛みに耐えてた時
カーテンの隙間から太陽が差し込み朝だと分かった。
頭の包帯がどんな感じなのか色々気になる
ことがあって静かに鏡を見に行こうと
ベッドから出ようとしたら
俺の右手に繋いでいた大毅の手に気が付いた。
…無意識に手を繋いだまま寝た昨日の夜を思い出し
申し訳なく思った。
まだ寝ている大毅の手を静かにどかして
今度こそベッドから出ようとすると
誰かが俺の背中に飛び乗り
ベッドから出るのを阻止した。
…まぁ何となく分かるんやけどな
一旦考えたがでも直ぐに「や」と言って
今度は俺の腹に流星の腕が伸びてきて
そのままバックバク状態に。
耳元ですやすやと寝ている流星。
…どんな状況やねん。
静かに流星をベッドに寝かそうとベッドに逆戻り。
まぁ流星やからどんなに騒がしい所でも
寝ているような人やから
静かに置かなくてもええんやけど
周りですやすやと気持ちよさそうに寝ている
他のメンバーを見てみると流石にドサッと
流星をベッドに置くことは出来なかった。
寝ている流星の目にかかっている前髪を横に流し
直し終えてやっと動けると思ったが
…あまり上手く行かなかった。
はい、この男。重岡大毅が起きていました。
忘れてた。
大毅朝めっちゃ早いんやった。
なんなら朝からランニングするくらいやった。
最悪やわ…。
気付けば痛み止めも切れてしまい
また深夜のように辛い痛みがまた襲った。
ドンキで殴られたような感じで
頭はすごく痛い。
大毅が戻ってくるまで右手で頭を抑えていた。
…あれなんかフワフワする。
凄い血相でこっちに走ってくる大毅。
…俺そんなにやばいん?
大毅は俺を支えてベットに一緒に腰掛けた。
大毅はベッドに座るのと同時に俺の頭を大毅の肩に
片手で頭を優しくゆっくり置いてくれた。
そのおかげで少しだけ痛みが和らいだ気がした。
俺の体を支えながらナースコールを押して
左腕でタオルを頭に押えている大毅。
…器用やな。
俺の頭に抑えられているタオルをより強く押す大毅。
…その時分かった。
大毅が更に強くタオルを押さえ、かなりの量の血が
出ているんやと分かった。
俺が望より血が苦手ってこと分かってたんかな?
それとも崇裕から前に聞いたことあるんかな…?
本当に直ぐ先生達が来てくれて
包帯を取って傷口の手当を行った。
部屋の慌ただしさに他のメンバーも続々と
起き出した。
血が苦手な望は智洋と一緒にメンバーの朝飯と
飲み物を買いに行った。
それから程なくして直ぐに怪我の手当が終わり
みんなは望と智洋が買ってくれた朝ごはんと飲み物を
俺は病院食を食べていた。
なるべく頭を動かさないようにと注意され
先生も部屋を退出し部屋は一気に静かになった。
誰も言葉を発さないまま数分
俺怒られるかなって思ったら
机の上に置かれていた携帯が鳴った。
マネージャー
「📱もしもし?あなた?今監督さんから連絡あった。」
マネージャー
「📱…撮影中止するって。監督がどうしても
あなたにやらせたいらしい。それと
あなたが庇った女優さんからも電話来てな…。無理にとは言わないがなるべく早めに
怪我を治してくれ。お前なら出来るだろ?」
電話も終わって画面が黒くなった携帯を静かに
机に置いた。
最後にマネージャーから伝言されたものを
メンバーに伝えるために顔を上げメンバーを見た。
そう伝えると、右の方から誰かが抱きついてきた。
その人は俺の背中に腕を回りして
より強く抱きしめた。
俺もその人の背中に右手だけ回して抱きしめた。
最後に流星は俺に抱きついて荷物を持って
淳太の後に続いて部屋を出てその後に
照史が部屋を出た。
今この部屋に残っているのはかみしげ。
そして智洋も荷物をまとめて部屋を出た。
大毅と2人きりになった瞬間
2人で目を合わせお互い笑って
大毅は智洋が座っていた椅子に移って座り直し
飲みかけの缶コーヒーを飲みだした。
顔は俯いてて缶コーヒーを片手に弄りながら
大毅がそう俺に質問してきた。
俺が言い終わる前に大毅が話し始めた。
今度は姿勢も正し俯いていた顔も上に上げ
俺と目が合った。
俺の目の前にいる大毅の目は真剣な表情やった。
大毅の顔や目に痺れを切らし
俺も小さく口を開いた。