第117話
2人で ①
濵田side
しげに無理やり立たされ、そのまま廊下に出させた俺。
あの時、小声でしげに言われた。
「俺今日あなたに思い伝える。」
分かってた。
だからいつ言うんやろうかって。
しげは「wセンター」じゃなくて
俺みたいに…シンメみたいに…あなたのそばにも
居たいってこと。
しげだけがよくあなたについて教えて欲しいとこまめに連絡くれてたし
あなたについて夜遅くまで語ってた時もあった。
ある時しげが、
「どうやったらwセンターという肩書き
だけでなくてあなたを支えられるんやろう。」
「どうやったら濵ちゃんみたいにあなたを
支えられるん?」
「俺、濵ちゃんに勝たれへん!!」
しげだけがあなたに甘えないのは
素直にあなた〜!って甘えに行かなかったのは
近くでちゃんとあなたを見守って
どんな時でも直ぐに駆け寄れるように
俺が居なくて、しげしか居らん時
直ぐに対応できるように。
「しげならいい」と思ってる自分も居る。
しげと一緒ならあなたを支えられる自信があった。
ダンスやパフォーマンスで1番そばにいるしげ。
しげだけが知るダンスの上でのあなたの支え方や
歌での支え方があるかもしれへんから。
俺とあなたはダンスや歌を歌う時は
対面上になる事が多く隣になることはあまりない。
しげ流のあなたの支え方と
俺流のあなたの支え方が合わさったらきっと
今よりももっとあなたを支えられるかも知れない。
しげらしくしげが思っている言葉で
あなたを支えたいと言葉に表せたら
きっとあなたは分かったと言ってくれるだろう。
それから俺は病院を出て近くのカフェで休憩をした。
まぁ…ファンにはバレたけど笑笑
なんでここに居るのって聞かれて
なんて答えればいいか分からなかったけど
適当に、外の空気を吸いたかったからやでと
答えたら納得してくれた。
今頃しげはしげなりの思いを伝えられているだろうか。
そんなことを思っていると携帯が鳴った。
カバンから携帯を取り出して見てみれば
液晶画面にはアプリで「重岡大毅」の文字が。
アプリを開き、しげと連絡をとった。
〜メール〜
〜メール終〜
それからしばらくしてしげが店に入ってきた。
俺が手を振れば近くに寄って目の前の空いている椅子に座るしげ。
しげはアイスコーヒーを注文して
そのまま黙ってしまった。
あぁやっぱり聞きに来たか。
その言葉を言った瞬間、
さっき声をかけてくれたファンが俺らを見た。
ファンもえっ?っと声を上げたのが分かった。
まだ心が…
俺が素直に「うん」や「分かった」と言えないのは
なぜなんやろうか。
あなたが俺に聞けって言ったのか…。
もしかしたらあなたは前を向こうとしている。
俺だけが前を向いていないまま。
週刊誌にマークされてるってどういうことや?
色々な感情やら思考が頭をよぎる。
もししげが思っていることが本当なら…。
俺がまだ誰にも言ってないから
俺はまだ前に進めてないんやろうか。
まだメンバーにも言ってないから
心が痛くなったり無意識に空を見上げるんやろうか。
でももし、過去を言ったら皆はどう思うんやろう?
しげが思っている以上に辛い過去やと思うで?
それでもええん?