中間side
あなたの家に先回りして着いてたから
約15分が経った頃に丁度あなたの姿が見えた。
あなた大好きのんちゃんが直ぐにあなたに駆け寄って
優しくのんちゃんはそのままあなたの体を抱きしめた。
見間違いではないと思うけど
一瞬あなたはのんちゃんに抱き着かれた時
ちょっとビクッと怯えたような様子を伺えた。
のんちゃんの体を離して歩こうとするあなたを
しげがあなたの腕をとって止めさせた。
最後の言葉だけあなたは声を震わせていた。
最後の言葉に何かを抱えている。
でもその何かをあなたは教えてくれる訳やない。
「メンバー」やから知ってる。
あなたの性格。
あなたはここでは何があっても言わへん。
強いて言うならヒントくらいや。
優しく怯えないように恐る恐る近付いて
あなたの頭を撫でる濵ちゃん。
あなたの体が傾いたと思ったら
そのまま濵ちゃんの胸に飛び込む感じで倒れて
濵ちゃんは受け止めたものの濵ちゃんも
ゆっくり床に座る形になってしまった。
こんな時でも冷静にあなたの対応ができる
濵ちゃんがホンマに凄いと思うし
濵ちゃんにしか出来ないことやなって
改めて思った。
濵ちゃんはそのままの体勢で
あなたの頭を撫でたり背中を摩ったりして
あなたが落ち着くのを待っていた。
………がなかなかそんな簡単に収まらなかった。
流石にここで何時間に居る事は出来ない。
ドアは自動やから人が来る度に開くため
あなたの体調がもっと悪化してしまう。
流星も同じことを思ってたらしく
流星は濵ちゃんのそばに行ってそう言った。
濵ちゃんがあなたを受け止めるために
投げ捨てられたカバンを拾って
あなたの家の鍵を出す。
俺ら兄組はあなたの家の鍵を持っているから
こんなん当たり前やけどのんちゃん達は
ちょっと呆然していた。
あなたの部屋の鍵を鍵穴にかけドアを開けた。
あなたを姫抱きにして運ぶ濵ちゃんを先頭に
俺らも続いてマンションの中に入った。
エレベーターも運良く下に着いており
俺らは飛び乗った。
全員がエレベーターに乗って扉が閉まった瞬間
濵ちゃんの腕の中で突然あなたがバタバタと暴れだして
濵ちゃんはゆっくり床に座った。
エレベーターはーちょっと狭かったが
それでもちょっと余裕があった。
するといきなりあなたは濵ちゃんの腕から抜けて
隅っこに移動した。
端にはしげと照史が立っていたが2人とも
あなたが入れるように隙間を開けて
ちじこまって三角座りしているあなたの背中を
撫でていた。
しげの言ったことは事実なのに
それでもあなたは過呼吸になりながらも謝り続けた。
俺らも見たことがない状態にアワアワしていると
エレベーターがあなたの家がある階にようやく着いた。
濵ちゃんは1番最初にエレベーターを出て
あなたの家にすぐに向かった。
代わりにガタイのいい照史があなたを
抱えてエレベーターを出た。
あなたは照史より身長がでかいから
頭1個分以上飛び出てる。
その飛び出ている頭をしげが優しく撫でていた。
のんちゃんものんちゃんで見たことがない
あなたに驚いてしまっていた。
神ちゃんが対応してくれてるけど
俺はこんな時なにをしてあげればいいか
分からなかった。
最年長なのに…。
こういう時だけ頭が悪いねん。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!