貴方side
今日は社長と約束していた日。
いつもよりもキリっとした服を着て大阪を出る。
なるべく東京に早く着きたかったから、
家も早めに出た。
荷物を持って玄関に向かうと、
東京駅方面の新幹線のホームに向かう時…
大毅が俺の肩を叩いて隣に来た。
勿論、勿論…。
俺はそう言って、
大毅より先に歩いていると、
後ろから大毅が着いてきた。
「直談判」
それは最も危険なやり方。
年上の淳太や照史にとっては最悪チャンスを逃すこともある。
こいつは強い。
知ってた。こいつがヤバいやつってこと。
勿論、いい意味で。
大毅が入ってきた時、先輩方や淳太、照史、崇裕がヤバいやつ入ってきたと口を揃えて言っていた。歌もダンスもピカイチで関西Jrを引っ張ってくれる貢献者と言われてた男。
そう、そいつが「重岡大毅」
俺も事務所に入ったら、先輩方に噂され
色々な先輩が俺のダンスや歌を褒めてくれた。
そのせいなのか、俺は周りのジュニアから
嫉妬といういじめの標的になった。
大毅の噂を嗅ぎつけ俺は大毅がいつも
レッスン時間が終わっても1人で練習していると聞いて俺はいつも大毅のダンスをドア越しに
見守っていた。
もしかしたら、俺みたいにいじめられるかもしれない。
俺はこいつを守りたい。
あいつが頑張っているのを1人でも知ってたら
いい。
それが俺だったら…。
俺だったら、こいつを守れる。
二度と後輩が俺みたいな思いをさせたくない。
して欲しくない。
簡単に夢を諦めて欲しくない。
その頑張りや努力を無駄にさせたくない。
そんなことを思いながら影で支えながら
守ってきた大毅が気が付けば
俺の知らないところでたくましい1人の男に成長してた。
こいつ、ほんまに後輩よな?
大毅の言葉一つ一つが胸に刺さる。
俺も大毅と輝きたい。
苦楽を共に過ごした仲間やから、
俺が認めた後輩。俺ももっとこいつの隣で
成長を見守っていきたい。
そばにいたい。
大毅だけじゃない。
高校帰りのまま、たまにレッスンに遅れてしまう俺を怒ることなく、振り付けを教えてくれた
淳太や照史。
俺が居たら直ぐにあなたくん〜って言いながら抱き着いてきたり、たまぁに勉強教えてって
言いながら教科書広げる可愛い弟
小瀧望。
ジャッグナイフ時代に出会ってお互いバチバチ
やったけど、恥ずかしながら俺にダンス教えて下さいと頭を下げに来てあれから毎日のように
ダンスの自主練したり、遊びに行ったりした
神山智洋。
普段はボケ〜としてて何考えてるか分からんけど、イケメン顔からは想像できない天然で
でも1番周りを見ていてメンバー思い。
こいつの相談はよく聞いていた。
俺もあいつのやばい時がよく気がつく。
こいつも俺が守りたいなぁーって思える、
藤井流星。
俺が初めて会った時本当にこいつ同期か?って思うほど最初から歌も、ダンスも、アクロバッド、ギターも全部が完璧で
気が付いたら必ず左に居てくれてて。
俺の隣がこいつしかいないってある日気がついてその日から俺のシンメはあいつだった、
濵田崇裕。
そして、今目の前にいる
俺がずっと守ってきた大毅。
こいつがセンターになった時、嬉しくて
柄にもなく涙が出た。ピッタリだった。
本当に大毅の歌やダンス笑顔も全部
センターに相応しい。
8人揃えば俺もこいつの隣で踊ることが当たり前になって、俺が俺らしく踊れるのが
重岡大毅というたくましい男がいるから…。
もし、この人たちを捨てたら
俺はどの人とグループになるんやろう。
どの人の隣で俺らしい踊りを見せれるんやろう。
考えてもなかった事が急に俺の頭によぎる。
俺が大毅のこの願いを裏切ったら……?
俺もこいつの隣で輝きたい。
俺もこいつらと一緒に色々な景色を見たい。
もう、答えは1つ。
そう言った瞬間、
大毅は持ってた荷物を投げて、俺の胸に飛び込んできた。
大毅を剥がすと…
涙でぐしょぐしょ。
まぁ、大毅らしいな。
そう言って大毅はさっき投げた荷物を持ち
新幹線のホームを歩き出した。
大毅と一緒に新幹線に乗り
社長に会ったらどんな話をするかなど
色々打ち合わせをして、準備をした。
ジャニーさんに認めてもらえるように。
皆に、認めてもらえるように。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。