チュンチュン チュンチュン
雀のさえずりが聞こえた
スー スー スー
そして静かな寝息も聞こえた
そろそろ起きようと思い体を起こす。
……いつもなら布団を離れさせられるのに、今回は布団をくっつけてきた。
ふっと昨日のことが蘇り、慌ててその言葉を言った張本人の方に振り返った。
昨日の幻太郎はいつもの幻太郎じゃなかった。
悪い意味で言ってるんじゃなく、少し、あぁゆう幻太郎も良いなって思っただけで…………
避ける隙も無く、顔を真っ赤にした幻太郎が覆い被さってきた。
顔を俺の胸に押し付け、ぽこぽこと叩いてくる。
……痛くないが
言葉のバズーカーみたいにペラペラと俺を侮辱するような言葉を投げつける。
自分の状態がやっと分かったのか、真っ赤な顔をさらに赤くし、すぐおりた。
幻太郎はそそくさと部屋と出て行った。
で、向こうへ行ったはずの足音がまた戻ってきて……
スパァンッッ
襖が勢いよく開いた
やっぱ幻太郎って優しいんだよな……
借りてる俺が言うのもあれだけどさ
……嘘、ついたわ
優しいなんてない
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(長い間お待たせしました)
帝統くんさ
○○万円貸してもらってるだけめちゃくちゃ優しいよ?
そんな優しい人いないって
と、自分で書いてて思った私でした
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。